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2012-10-21 00:00
(連載)ドイツの再生可能エネルギーが示す脱原発の非現実性(2)
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
ドイツは2010年の新しいエネルギー政策において、2050年に電力の80%を再生可能エネルギーによって賄うことを決めている。さらに、福島第一原発の事故を受けて、2022年までに原発を全廃することを法制化した。現在、ドイツの電力需要に占める再生可能エネルギーの割合は2割強、原発は2割弱である。再生可能エネルギー普及賦課金の高騰から、「脱原発」は非現実的であることは明白である。
我が国の場合、電力供給に占める再生可能エネルギーは1%程度(マイクロ水力を入れても2%程度)に過ぎない。需要に占める割合と供給に占める割合であるから、直接比較できる数字ではないが、我が国において、原発を再生可能エネルギーで代替することの非現実性は、ドイツの比ではないことは明らかであろう。
ドイツでは再生可能エネルギー普及のための負担に耐えかねて、経済界からは、再生可能エネルギー普及のためのコストを早急に縮減するよう要求が出ており、一方、左派の緑の党などは、企業に対する賦課金の軽減措置を縮小して家計の負担減に回せ、と言っている。緑の党のような企業に負担を求める主張は、産業の空洞化と雇用の喪失を招くのだから、一般国民のためにもならないが、こういうポピュリズム的な不毛な議論は、日本でも間違いなく出てくる。
我が国に蔓延している、「脱原発・再生可能エネルギーでの代替」論は、ドイツの過ちをそっくりそのまま繰り返すことに他ならない。固定価格買取制度における太陽光の買い取り価格が高すぎるというところまで同じである。これが、日本経済に災厄を招かないはずがない。私は、決して再生可能エネルギー自体に反対するものではないが、現実的なエネルギー戦略を立てるには、「脱原発・再生可能エネルギーでの代替」という呪縛から解放されなければならないと強調したい。それがない中で、年内の行程表了承が強行された、革新的エネルギー・環境戦略の実施には、強く異を唱える。(おわり)
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