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2012-10-19 00:00
(連載)日米同盟を腐食させる「原発ゼロ」(1)
高畑 昭男
ジャーナリスト
「2030年代に原発ゼロを目指す」という野田佳彦政権の新エネルギー戦略に対し、英仏や同盟国の米国がこぞって疑問や懸念を突きつけた。この光景に「どこかで見たような?」というデジャビュ(既視感)にとらわれた人が多かったのではないか。思いだすのは2007年夏から秋にかけて起きたことだ。日本の海上自衛隊が対テロ国際貢献の一貫として行ってきたインド洋での補給支援活動の継続問題で、当時の民主党がとった定見なき行動である。
米中枢同時テロ以来、約6年間続いた海自の活動は、日本の重要な貢献として国際的に評価されてきた。だが、国会でテロ対策特別措置法が延長されない限り、同年11月1日には期限が切れる。この問題で、民主党は当時の小沢一郎代表らが参院の「ねじれ」を利用して特措法の延長を拒み、活動停止に追い込んだのだ。07年8月8日、当時のシーファー駐日米大使が小沢氏と会談し、補給支援の意義を訴えた。同30日には、来日したメルケル独首相も小沢氏に継続を要請した。さらには9月下旬と10月末の二度にわたり、米加など12カ国の在京大使らが国会議員らに「日本の貢献は日本の安全だけでなく、世界の安全にも必要だ」とアピールした。
にもかかわらず、小沢氏らは「補給支援は国連決議に基づく活動でない」との持論に固執し、「日本の平和・安全と直接関係のない場所へ部隊を派遣し、米国などと共同作戦はできない」と大使らの要請を最後まで突っぱねた。今回の「原発ゼロ」方針も、クリントン米国務長官や在京の英仏大使らが「関心」や懸念を日本政府に伝えただけではない。訪米した民主党の前原誠司政調会長には、ポネマン・エネルギー省副長官が「米国にも重大な結果を与える」「第3位の経済大国日本が(脱原発で)石油を買いあされば、国際価格に響く」などと具体的な警鐘を鳴らしている。
07年当時の民主党は野党だったが、責任ある政権与党になった今も、国際社会の大切な助言に耳を貸そうとしない姿勢は変わらないようだ。補給支援停止の際、米側は「重要な安保政策を国内政争の具にして日米同盟の絆を弱めた」と不満を強めた。選挙対策の観が強いとされる今回の「原発ゼロ」も同じ結果を招く恐れが少なくない。そうした懸念の第1は、8月に公表された米知日派の「アーミテージ・ナイ報告」が指摘したように、「原発ゼロ」が日米同盟や両国の利害を損なうことだ。放置すれば同盟関係が腐食され、崩壊してしまうかもしれない。(つづく)
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