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2012-09-26 00:00
日本は民主主義かファシズムか、米国は旗幟鮮明に
加藤 朗
桜美林大学教授
日中間の対立がいよいよ深刻化している。デモなどは政府によって規制され、表面的には収まったかのように見える。しかし、潜在的には事態は領土問題からイデオロギー問題へと質的に変化している。中国は当初から尖閣問題をきっかけにして日本の勢力を削ぐことを目的にしている。戦後一貫して中国は日本をファシズム、軍国主義国家として規定することで米国との関係を密にし、日米の分断を図ろうとしてきた。
しかし冷静に考えてみれば、米国が中国共産党との友好関係を図ろうとしたのはニクソン政権時代以降である。しかも、それは本当の友好というよりは当時の大統領補佐官のキッシンジャーの冷徹な権力外交の結果でしかない。敵の敵は味方という権力政治の原則に則り、米国が当時敵対していたソ連を封じ込めるために、やはりソ連と敵対関係にあった中国と友好関係を結んだにすぎない。イデオロギー的に見れば、昔も今も変わることなく、米中は水と油である。ただ両国は経済的には資本主義国家で、まさに双頭の鷲か蛇である。
第二次世界大戦中、国共合作していたとはいえ、筑波大学の古田博司教授が指摘するように(2012.9.20産経新聞「正論」)、実質的に日本軍と戦ったのは蒋介石の国民党であって、毛沢東らの中国共産党ではない。それを、あたかも中国共産党が日本と戦ったかのように歴史を改竄し、米中はともに軍国主義日本と戦わなければならないと主張するのは、まさに笑止千万である。依然として共産党の独裁下にあり、国民の自由を奪い人権を侵害している国が一体いかなる根拠をもって、少なくとも米国と同程度には民主的で、自由で人権を尊重する日本を軍国主義と非難し、過去を反省していないと言えるのか。
歴史を改竄しなければ、政権を維持できない国ほど、浅ましくも悲しい国家はない。米国はまさか、そのような国家に味方することはないと思う。もし、そうだとすれば、中国が主張するように、日本は過去を反省しない軍国主義でファシズムの国家だと米国が認めることになる。だとすれば、戦後の米国の対日政策は全くの失敗ということになる。米国の有識者に問いたい。日本は米国が指導してきたように民主主義国家なのか、それとも中国が主張するように戦後の国際秩序を破壊するファシズム国家なのか。
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