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2012-09-19 00:00
(連載)中国の本音と日本のやるべきこと(1)
鹿又 勝己
会社員
ちょうど一ヶ月前の8月19日、少し勘違いした日本人が魚釣島に上陸して日の丸を振りかざし、世界中の嘲笑を買った。これを「奇貨」として翌日から中国各地で反日デモを起こさせた北京政府は今や、「漁業監視」船隊を派遣して領海侵犯させたり、「1千隻の中国漁船が押し寄せる」と脅かしたり、尖閣諸島を巡る「紛争」を世界中に「演出」している。一方、国内的には「国土奪還」キャンペーンを続け、共産党のネット版機関紙である「人民網」や「環球網」を見ていると、ほとんど「気分はもう戦争」状態。これに煽られた官製反日デモはとうとう、無抵抗なものたちへの暴行・略奪という、チャイニーズの歴史的伝統の仕儀に発展。国際社会の関心は北京政府の統治能力に向き始めた。
で、北京政府の思惑はどこにあるのかを、少し冷静に探ってみよう。既に旧聞になってしまったが、8月22日、「人民網」はその総合報道欄で「尖閣諸島の回復は短期的には難しいだろう」という10分ほどのインタビュー番組を配信している。この番組は、この1ヶ月間の報道のなかで、もっとも明瞭に北京政府の公式見解を示す素材であった。インタビューを受けているのは北京大学・国際関係学部の梁雲祥教授。番組のサブタイトルは「尖閣諸島を回復するのに、最も避けなければならないのは、武力衝突だ」とある。こういうサブタイトルがついているのは、この番組の目的が政府意思の明確な表明であることを物語る。「武力」を云々できるのは、政府以外にない。
さて、番組は「尖閣諸島を回復できると思うか?」という質問で始まった。温厚そうな梁雲祥教授は「遠い将来にという意味であるならば、当然回復できる。前提として、中国が順調に発展し、日本が衰退を続ける、という今の状況がつづけば、ということだ。だが、短期的には、また法律的にも、可能性はない。中国はこの問題を外交交渉によって解決しようとしている。外交交渉では双方の妥協が必要だ」と答えた。
注目すべきなのは、さらに「個人的な見解」として、「(1)まず日中間の衝突、とりわけ武力衝突を避けなければならない。(2)長期的な解決法は、EUに学ぶ必要がある。領土問題はエネルギー資源の帰属など多面性を持つ。EUのように、それらを協議する国際的な機構を作って、その裁定にゆだねる、というのも一つの方法だ。(3)すぐには無理かもしれないが、日中双方にはお互いに信頼感もあり、これは無理な方法ではない」と述べたことだ。以上が番組の概要である。(つづく)
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