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2012-09-17 00:00
(連載)映画「あなたへ」と「お人よし」外交日本の落差(2)
田村 秀男
ジャーナリスト
日本は「20年デフレ」で国力は衰退を続け、他方の中韓は増長著しい。李大統領は竹島上陸のあと、日本の国際社会での影響力について「昔と同じではない」と述べたそうだが、侮りに近い対日観は中国にも共通しているはずだ。
具体的にどうすべきか。10月末に期限が到来する通貨交換(スワップ)協定を例にとろう。昨年、枠が大幅に拡大された同協定のおかげで韓国は国際金融市場で交換性に乏しいローカル通貨ウォンを刷っては国際通貨である円やドルとたやすく交換できる。韓国は4年前のリーマン・ショック後、急落したウォンを放置してきた。ウォンは円に対して5割以上も安くなり、サムスンなど韓国企業大手は国際市場で日本のライバル企業を圧倒、苦境に追い込んでいる。おまけに為替相場に連動して韓国株は上がり、日本株が下落する。
韓国の弱みは逃げ足の速い外国資金に依存していることだ。ユーロ危機が悪化するたびに、昨秋から欧州系金融機関が韓国などから短期資金を引き揚げるようになった。ウォン崩落を避けるためには大幅な利上げしかないが、韓国は日本のおかげで安心して低金利、ウォン安政策を続けられる。何しろ韓国の対外短期債務総額は1360億ドルに上るが、その半額以上をスワップによって難なく日本から調達できる。韓国にとってよいとこずくめ、日本にとってはマイナスどころか、自壊装置だ。
野田政権は事ここにいたってようやく、スワップ協定を延長するかどうかは「白紙」と言い出したが、外交上の不快感表明のレベルで済ますべきではない。この際、韓国に対し、円に対するウォン安政策の是正を求め、受け入れないなら延長しない冷徹さが欠かせない。それは、自国にとっての不利益を解消し、利益を増強するという、世界では当たり前の通貨政策に粛々と回帰する嚆矢となるはずだ。(おわり)
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