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2012-09-05 00:00
「谷垣つぶし」で民・自・公路線に暗雲
杉浦 正章
政治評論家
長老による「谷垣つぶし」が進み、維新の会の国政進出が確実となっている中で、消費増税を契機に実現した「民・自・公路線」が風前の灯となっている。同路線は、首相・野田佳彦、自民党総裁・谷垣禎一、公明党代表・山口那津男が実現させたものだが、「消費税成立と解散実現、選挙後の協力」が密約の形で進行する事を前提にしている。しかし。野田は再選されても、谷垣再選は絶望視されるに到っている。もっぱら個人的関係で出来上がったものだけに、谷垣がつぶれた場合、誰が引き継ぐかが、最大の課題だ。行く末を案じたのか、山口は9月4日「3党合意は政党間合意であり、今後とも守っていく必要がある。それを両党とも十分理解した上で、ふさわしい人を選んでいただきたい」と注文をつけた。山口にしてみれば、党内の反対を押し切って実現した3党合意であり、ここで挫折させるわけにはいかないのだろう。3党合意では、解散・総選挙後に国民会議を設置して、年金や医療などの抜本改革案を有識者らが協議して、推進することになっている。3党はこの合意を核として、政策ごとの部分連合か、政界再編へとつなげようとしていたのだ。
ところが、維新の国政進出は、この流れに待ったをかける形となっている。自民党総裁選候補らが競って維新に秋波を送り始めているからだ。まず安倍晋三が最初に大接近した。大阪市長・橋下徹とも度々会談、良好な関係を築いた。これに便乗しつつあるのが石破茂だ。石破は、自書「国難、政治に幻想はいらない」の中で「幻想を振りまく政治とは決別すべきだ」と橋下を切り捨てたと思ったら、今度は180度転換した。橋下と国政や安保で「話をしたい」というのだ。背景には、総裁選で過半数をとれない場合に、安倍と連合する流れが浮上したことがある。森喜朗ら長老の「石破嫌い」は相当なものがあり、このままでは、安倍と組まなければ戦略が成り立たなくなっているからだ。こうした流れを見てか、維新の定数半減策を「バナナのたたき売り」と批判したはずの幹事長・石原伸晃も維新接近だ。8月31日に橋下と秘密裏に会談している。次期衆院選をめぐって協議したというのだ。
候補の中で唯一民・自・公路線を主張しているのは谷垣だけだ。「3党合意までは、党首として責任を持たなければならない。逃げるわけにはいかない」と合意“死守”を誓っている。谷垣は「少なくとも選挙後3党合意は実現し、そこから先は政界再編含みの流動化だ。選挙結果を踏まええなければ分からない」と展望している。谷垣の心中には、自民党政権が出来ても参院のねじれを解消しなければ「何も出来ない政治」の継続になるという危惧がある。維新と組んでも、参院のねじれは解消せず、公明に加えて民主とも組む必要があるのだ。町村はどちらかというと民・自・公路線支持だ。しかし、実際維新と組めるのかというと、まず政策的には隔たりがありすぎる。維新八策のポイントは首相公選制、参院廃止、消費税の地方税化、地方交付税の廃止、衆院定数半減である。憲法改正を伴う机上の空論はともかくとして、橋下の固執する消費税の地方税化が実現可能か。せっかく福祉目的税として成立させた財源を、地方に移転など出来るわけがない。しかし石破は、「地方税化が是か否かという議論だけでは間違う」と愚にも付かない屁理屈で完全否定を逃げている。石破は「政策が合えば、連携は当たり前」とも述べ、「その確率は50%」なのだそうだ。要するに苦し紛れに政治優先の“野合路線”を取ろうとしているのだ。
もちろん民・自・公路線と維新との連携は矛盾するものでもないし、激突するものでもない。「自公は民主、維新の双方と連携を進めればいい」という見方も成り立つのだが、この数合わせだけの“野合路線”は、国の方向を大きく間違える危険性を秘めている。明らかに全体主義的な政治手法を積み重ねている橋下を、何らかの形で政権与党に組み入れれば、ヒトラーの台頭を許したドイツと同じ経緯を踏むことになりかねない。自己顕示欲の固まりの橋下が党首である。ことあるごとに自分の主張を繰り返し、政権を引っかき回すだろう。選挙後は「決められない政治」どころか、「はちゃめちゃ政治」になるだけだ。そして、来年の参院選にも候補を立て、地歩を築こうとするに違いない。逆に政権に参与させなければどうなるかだが、橋下の「維新ベビー」や、既成政党からの「逃げネズミ」や、知事を辞めたお笑い芸人などからなる新党は、野党として生きるしかない。政権サイドが維新新党の体たらくをことある毎に浮き彫りにさせてゆけば、人気はは半年と続かない。馬脚が現れて、参院選挙への進出など不可能になるのだ。自民党総裁選候補は、卑しげな秋波を橋下に送るべきではない。政治家の矜持が試されている時だ。ここは民・自・公路線だけを追求すべきだ。参院のねじれを解消して、政治に安定を取り戻すべき時だ。
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