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2012-08-27 00:00
アーミテージ・ナイ報告で野田政権は目を覚ませるか
高畑 昭男
ジャーナリスト
「日本には、米国とともに世界の一流国家同士の同盟を盛り立てていく気概があるのか?」。アーミテージ元米国務副長官ら超党派の知日派がまとめたアーミテージ・ナイ報告(8月15日)が日本に最も強く問うたメッセージは、この点につきるのではないか。
報告の序文は、いきなり「日米の同盟関係は『漂流の時』にある」との書き出しで始まる。世界で最も重要な同盟の一つが「(存続の)危機に瀕している」と率直に指摘し、野生生物の「絶滅種」などに使う「エンデンジャー」という単語を充てている。相当に深刻な思いを込めた表現と読み取ることもできよう。日本に対して「一流国であり続けるのか、それとも甘んじて二流国家に落ちぶれていくのか」と、極めて単刀直入な物言い(無礼と感じてハラを立てる人もいるだろう)で尋ねているのも、初めてのことだ。だが、ハラを立てる前に、報告の指摘をよくかみしめる必要がありそうだ。
アーミテージ氏とナイ・ハーバード大学教授の共同執筆による報告書は2000年、07年に続く第3弾だが、前回、前々回にはみられなかった同盟国への不安と懸念が前面に現れたとみるのが常識だろう。原発再稼働の必要性を含むエネルギー政策、経済・通商、近隣諸国関係、新たな安保戦略という4分野を中心とした各論、それに続く具体的提言は、日米両国と同盟全体にとって有意義な内容が並んでいる。しかし、それらのどれを生かすにも、何よりも先に日本という国家、政府、国民の意思と気概がなければ始まらない。「6年間に6人の首相」が入れ替わり、大震災や原発事故などで「若者の多くが悲観的で内向き」になっているものの、日本には一流国たる能力が十分にある。「問題はひたすら日本の意思にある」という指摘には考えさせられる。
日本に気概があるのか?--という趣旨の問いかけは、報告の「結論」でも再び顔を出す。「日本は極めて重大な岐路にある。戦略的に重要な時にあって、日本には自己満足と指導力の違いを見分ける能力がある。アジア太平洋地域のダイナミックな変化が進む中で、日本が地域の命運を導く助けとなる好機であり、このような機会は二度と訪れることはないだろう。指導力を選択することで、日本は一流国家の地位と対等な同盟パートナーとして果たすべき役割を確保することが可能になる」と結んでいる。執筆者らは10年、20年単位で日米協力を支え、同盟のあり方を見守ってきた。言い方は厳しいが、頼りになる知日派による叱咤激励と受け止めて、しっかりと応えたい。
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