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2012-07-04 00:00
(連載)日本は期待に応えられるのか(1)
高畑 昭男
ジャーナリスト
外務省が毎年、米国で行っている対日世論調査(5月22日公表)で、米国にとって「アジアで最も重要なパートナーは日本」と答えた人が昨年よりも19ポイント増の50%で単独トップになった。「中国」は2位で、39%だった。昨年は中国に首位を奪われ、一昨年は日中が同じ44%で横並びだった。だから、日本の単独首位返り咲きは3年ぶりということになる。外務省は「東日本大震災後のトモダチ作戦などの日米協力が米国でも報じられたからではないか」と分析している。
だが、喜んでいいのはここまでである。この調査は全米の一般市民1200人を対象とする「一般」の部と、学者、政治家、財界人など200人を対象とする「有識者」の部に分かれ、首位への返り咲きは「一般」の部の結果でしかないからだ。「有識者」の部では、「最も重要なパートナーは中国」と答えた人が54%もあり、3年連続で2位の「日本」(40%)を上回った。しかも中国が選ばれた理由が「通商・経済関係」(37%)、「技術力」(26%)であったことも見落とせない。かつての日本の利点やお家芸を中国にかすめとられた形である。年々拡大しつつある米中経済関係の層の厚さを象徴しているといえなくもない。
もちろん広大な米国で日本と中国、日米中相互関係について正確な知見を持つ人は、有識者も含めてそう多くない。大多数は大ざっぱなイメージや報道で対日感情を左右されやすいのが実情だ。外務省が定点観測的に続けているこの調査は、米国全体の対日感覚を診断する重要なバロメーターといえる。それだけに、日本は多様なチャンネルを通じて、もっと「同盟・パートナー」として日本の重要性をアピールする必要があるのではないか。
ところで、軍事・安全保障面で米国の対中認識がどうかというと、5月18日に米国防総省が発表した2012年版の「中国に関する軍事・安全保障年次報告」が興味深い。中国の軍事力に関する年次報告は、ブッシュ前政権時代の02年から始まって現在に至っているが、オバマ政権は「中国脅威論をまき散らすもの」という中国側の抗議に配慮してか、一昨年版から報告のタイトルが今のものに改められている。そうした中で、最新の12年版では中国の戦略的意図について過去のどの報告よりも明確な警戒感を示したことに注目すべきだと思う。(つづく)
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