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2012-06-08 00:00
六日の菖蒲ならぬ6月の小沢節
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
鳴り物入りの野田・小沢会談なるものを報道された限りで理解すれば、そのあまりの中味のなさに唖然とする他はない。小沢氏の言う「増税の前にやるべきことがあるだろう」と言うのは以前にも取り上げた論点だし、民主党のマニフェストの位置づけも今ひとつはっきりしないのは事実だ。しかしそれは11月の話で、会期末を目前に控えて政治的打開策を模索している今日ただいまの議論ではない。まさに六日の菖蒲ならぬ6月の小沢節で、この人の議論が常に政局が第一に念頭に置かれているのではないかと疑わせるピントのずれかたである。
自民党はといえば、大森氏は例によって「最強の布陣」の筈の内閣がこんなにぽろぽろ変わるのはどうしたことだ、と一通り嫌みは言ったものの、悪のりしてかさにかかる風情はないのは結構な話だ。どうやら大人の野党の対応が出来るようになったのはこの党の学習能力の高さかもしれない。最大の争点とも噂される解散時期にしても、任期が3年も4年も残っているのならいざ知らずどのみち1年ならば争点になり得べくもなかろう。かくして民主党の看板を外して野垂れ死にしたくない小沢さんのグループ。その分党的言辞にほとほと愛想も尽きている民主党執行部、政策議論で実を取りたい自民党、いづれにとっても具合の良い落としどころがあると言うのだから話し合いと言うのはもんでみるものだ。この間公明党、みんなの党は独自色を発揮する機会がなかったり、自ら放棄したりなさっていたようだ。こういう局面での小党と言うのは立ち居振る舞いが難しいのだろうと思う。
肝心要の選挙制度は5減だけを先行させる以外の決着は考えにくいのだが、これも各党の思惑やらメンツやらまだしこっているようにみえなくもない。が、これもいづれ落ち着くところに落ち着きそうな気配だから、これまた泰山鳴動しテナントやらの類いかも走れない。しかし、それはそれで結構ではないかと言う話ではある。話し合いに奇想天外なオチなどはありっこないからだ。それにしても奇怪至極なのは民主党の輿石さんと言うお方。小沢さんのスポークスマンあるいは体制内に存置された小沢グループの「草」がそのキャパを超えたところまで野田総理に重用されていらっしゃるのはあれは一体なんなのだろう。北海道日教組の闘士として旧い旧い旧社会党的体質を誰よりも濃くお持ちの方が要職にお就きになっていること自体(事は何も輿石氏に限らないが)この党の「ぬえ」ぶりを端的に示すのだが、今回の会談での役回りのように、ここまで重用されねばならないと言うのは。民主党内における小沢氏の影響力を考えあわせても異常な感じを拭えない。
当面の審議日程に関する限り落ち着くベき処に落ち着いたのは慶賀の至りとして、さてこの後がどうなるか、というのがおおかたの関心事だろう。民主党の分裂は先ずない、と見るのが一般的だろう(最大の理由は小沢グループと組みたい相手がいないこと)。自民が割れて野田さんと一緒になる、というのも選挙区の実情を考えると先ずあり得ない選択だ。とすると再び泰山はネズミ、という話になるのか。国を治めるのは大きな魚を煮る時と同じでやたらかき回してはいけないそうだから、ここはそっとしておけばよいのかも。
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