ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2012-05-20 00:00
(連載)消費税論議にみる国民の甘え(2)
山下 英次
大阪市立大学名誉教授
高福祉国家のスウェーデンとデンマークの税率は25%であるが、現在、大半の国々は20%前後である。ちなみに、27カ国の標準税率の単純平均は、現在、20.9%である。OECD諸国についてみると、VAT採用の30カ国(含む日本)の平均VAT税率は18.0%(2010年)である。他方、中国のVAT(増値税)の標準税率は17%、韓国の場合は10%である。
また、EU諸国の場合、VAT税率はかなり頻繁に変更されている。これまでの標準税率の変更回数は、独仏はともに7回であるが、アイルランドは最多で、実に17回も変更している。時系列的にみると、どちらかと言えば、ドイツのように、年を経るごとに徐々に税率を上昇させてきた国が多いが、上げ下げを繰り返してきた国も少なくない。このように、多くのEU諸国では、VAT税率の変更は、法律の変更によってではなく、政府が予算案に組み込み、それが国会で承認されれば実現するという形になっているようである。
そもそも財政収支は、国と民間部門との間の経済的なやり取りの期間収支を示したものであり、財政赤字は、国が民間から徴収する歳入より国の国民に対するサービス支出が大きくなっていることを示している。すなわち、基本的には国民が政治プロセスを通じて、国に対して過大なサービスの提供を要求していることから生じているからに他ならない。日本国民は、その点、大きな勘違いをしている。
世界最大規模の政府債務残高を抱えるわが国の消費税率が5%に過ぎないというのは、どう考えても異常である。本来なら、今すぐにでも、10%と言わず、15%に引き上げ、さらにそれを20%程度に引き上げるべきであるところを、消費税引き上げの前に政府がやるべきことがあるだろうなどと要求するのは、国民の政府に対する甘えも甚だしい。日本国民は、自らとこの国の将来世代のために、今すぐ消費税の引き上げを受け入れるべきである。また、消費税の税率変更は、法律の変更を伴うのではなく、もっと容易に実現できるべきであろう。消費税率の変更の度に、大騒ぎとなるのは如何なものだろうか。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会