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2012-04-25 00:00
(連載)ロシアは東アジアに何を求めるか明確にせよ(3)
河村 洋
市民政治運動家
北朝鮮の非核化に関しては、リチャード・アーミテージ元国防次官補が春原剛氏とのインタビューで「ソ連崩壊後のロシアは北朝鮮への影響力が急速に低下した」と嘆いている。しかしハドソン研究所のリチャード・ワイツ上級研究員は3月のディプロマット誌で「ウラジーミル・プーチン次期大統領が最近になって北朝鮮ではイラン以上に非核化に積極的に取り組む」という論文を出したと指摘している。それだけの理由はある。ロシアは南北朝鮮鉄道を自国の鉄道網に連結し、韓国にヨーロッパへの貿易ルートを提供しようとしている。またロシアは北朝鮮領内を通るエネルギー資源パイプラインの建設を望んでいる。
日本との関係では北方領土問題が注目されがちである。日本のメディアはプーチン氏の大統領当選が領土交渉に及ぼす影響に目を奪われがちである。しかし大統領が誰であれ、ロシアの東アジア政策の全体像を理解する必要がある。クレムリンは政治的な問題を棚上げして日本との経済関係の強化を模索しているかも知れない。しかしウクライナ危機でロシアが天然ガスのパイプラインを閉鎖してヨーロッパのほとんど全てを混乱させたことを考慮すれば、我が国としてはそうした考え方を易々と受け容れるわけにはゆかない。
他方で日本は全世界の住民の利益のためにもシベリアの森林保護には一役かえる。日露関係を考えるうえでは2009年の日本製中古車紛争で見られたように、クレムリンの国家中心の視点が東シベリアの住民との間で認識のずれを生じさせていることに留意する必要がある。極東ロシアの住民は、プーチン首相がロシアの自動車産業保護を国際競争から保護するために日本製中古車の輸入を制限したことに反対して立ち上がった。ロシアは今年の9月にAPECウラジオストック首脳会議を主催するので、東アジアでの自らの政策と経済的な目的を発信する必要がある。ロシア国民は帝政時代からソビエト時代の精神構造から抜け出し、世界を相手に情報発信してゆくべきである。
これまでのところ、ロシアの東アジア政策はあまり注目されてこなかった。しかし開発の遅れたロシア極東地域には日中韓をはじめとするアジア近隣諸国の投資が必要なのは明らかである。ロシアがアジア転向を進めるようになると、アメリカの政策形成者もロシアのアジア太平洋政策を注視する必要が出てくる。また東アジアの側でも、政治家や外交官から千島列島の漁師にいたるロシア人とより多くの対話の機会を求めるべきである。サラ・ペイリン氏が2008年の大統領選挙で不用意な発言をしたことは、ペイリン氏よりもむしろロシアにとって恥ずべきことである。(おわり)
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