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2006-07-23 00:00
戦前グローバリズムの失敗に学べ
四条秀雄
不動産業
実は、現在起こっているようなグローバリズムは、戦前にも起きていました。30年代の欧州や南米において、90年代のアジア危機のようなこともありましたし、南米日系人などの移民現象も大規模に起きていました。しかし戦前のそれは悲惨な失敗に終わりました。移民は米国の排日移民法などの排外主義を呼び起こし、グローバル経済は、通貨圏でブロック化した保護主義に陥りました。戦後の4半世紀は、反グローバリズムを制度化した規制と制限の強い世界経済体制を維持していましたが、崩壊して現在に至っています。戦前の日本は、大西洋を中心とした戦前グローバリズムの辺境・辺縁にありましたが、欧州や南米と同様に金融・通貨問題で国家経済を揺さぶられて、大量の失業を生み出しました。欧州では、沢山の人間が大西洋を渡りました。日本人も太平洋を渡りましたが、人種的理由から、今日でも見られるような反移民感情の矢面に立つこととなり、転じて満州へ向かったのです。さらに保護主義の流行が、日本におけるリアクションとして大東亜共栄圏に結晶されます。当時の状況では、日本のやったことは世界的なスタンダードに準じたに過ぎなかったのですが、人種的孤立から、満州国(移民)や大東亜共栄圏(保護主義)という形にならざるをえなかったのだと思います。
さて、戦前グローバリズムの失敗に学べ、というのはどういうことかと考えますと、それは、移民も貿易も投資もなんでも自由にしろ、その際の摩擦に耐えろということではないと思います。これは戦前に失敗しました。制限をする方法も、戦後に試され結局失敗しました。それではどうしたら良いか?要点は、調整の時間を見極めろということだと思います。そして落ち着く先は、ルールに基づいて予測可能な世界でないといけません。戦前は、金本位制の縛りがあって、ファイナンスという時間を与えるための最も有効な手段が制限されていましたが、現在は、ファイナンスは非常に緩い状態です。その代わり、至る所で小さいバブルとその崩壊が起きている。ですから、ファイナンスのためのルールが求められている。グローバリズムが将来の利益をもたらすと仮定したとして、その管理主体は、長期に渡って強制力をもったルール設定能力を持つ必要はあります。結局、そのような主体は、当面の間、米国しかないわけです。EUは、もう少し先にならないと機能しないでしょう。米国が徐々に衰退をしようが、正しかろうが間違っていようが、ルールを保ち、調整に必要な時間を確保できれば、物も金も人も移動を終えます。
今は、東アジア共同体というような未来思考ではなく、日米同盟や日米EPAというような保守的思考こそが、未来を拓いてくれるでしょう。人々は、グローバルな自由化のために、生活の全てが流動化して、見通しが立たない漠然とした不安にさらされるようになります。人々は、物事を解決するでしょうが、そのために時間が必要になります。これを与えてくれることが、国際的な公共財となります。東アジア共同体のようなアジア主義的思考は、戦前にもありました。日中戦争時でさえ、中国側のあらゆる勢力各々に日本人の顧問がいました。いろいろな思惑が一つの器に盛られて、結局、混乱と内紛の泥沼に嵌ったのです。変化の時代に重要なことは、人々に不動点や原点やゼロ点出発点を与えることです。東アジア共同体や大東亜共栄圏のような不定点や目標地点を与えることではありません。これが戦前グローバリズムの失敗から得られる教訓でしょう。
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