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2012-04-08 00:00
(連載)坂本竜馬の「船中八策」にみる国際通貨政策(1)
山下 英次
大阪市立大学名誉教授
「大阪維新の会」の「維新八策」で脚光を浴びている坂本竜馬の「船中八策」、これは、1867年(慶應3年)6月、竜馬が長崎を出航し、夕顔丸で上洛する折、その船上で考えをまとめ、土佐藩参政の後藤象二郎に提示したとされる。それが大政奉還(同年11月)後の「新政府綱領八策」となったといわれる。「新政府綱領八策」は、当時の日本の国としての最重要の政策課題を8つ特定したものであり、政権の朝廷への奉還、上下両院制の設置による議会政治、不平等条約の改定、などと並び、第8策目には金銀の交換レートの変更が謳われている。まさに、当時のわが国の国際通貨政策である。
幕末の欧米諸国における公定金銀比価(mint ratio)は、銀に対する金の価値の倍率で表すと、フランスでは15.5、米国では16.0であった。他方、日本のそれは、金が相対的にかなり安く、実質的には12.0前後であったようである。その結果、当時、日本から金が大量に国外へ流出していたことは良く知られる通りである。そうしたわけで、金銀比価の国際的な水準への変更は、8つしか挙げられていない国家的な最重要政策の一つとなった。
尤も、それに遡る時期の「安政幣制改革」(1859年)と「万延幣制改革」(1860年)の2回にわたってすでに通貨改革が実施されており、「船中八策」の頃の金銀比価は、もう少し国際水準に近かったのかもしれない。いずれにせよ、その後の展開については、明治期の「貨幣制度調査会報告」によれば、明治4年(1871年)のわが国の金銀比価は、公定比価が16.01、市場比価が15.55となっており、概ね国際水準に一致するところまできている。
ところで、大阪維新の会の「維新八策」は、まだ最終版にはなっていないようであるが、どうやら国際通貨政策は含まれないようである。それでは、現下のわが国において、国際通貨政策上の大きな課題はないのであろうか?そんなことは断じてなく、大いにある。円相場の大きなスウィングで、日本企業が大変な苦境に陥っていることは明らかである。しかし、有効な円高対策など存在ない。この極めて不安定かつ非合理な国際通貨制度そのものを変えるしかないのである。すなわち、われわれは、グローバルな国際通貨制度におけるフロート制を廃止し、より安定的なシステムへ移行させなければならない。(つづく)
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