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2012-04-06 00:00
小国アゼルバイジャンが注目を浴びる理由
川上 高司
拓殖大学教授
イスラエルはイランの核開発を止めるべく各関連施設への攻撃をあきらめたことは一度もない。目的達成のためなら手段を厭わない、どんな手を使うかわからない。そんな危機感がイラン攻撃を防ぎたいアメリカにはあるようだ。最近特にアメリカの軍や情報筋が懸念しているのが、イスラエルとアゼルバイジャンとの戦略的に緊密な関係である。
アゼルバイジャンは戦略上、カスピ海と黒海に挟まれ、北にロシアとグルジア、西はトルコ、そして南はイランと国境を接する要所に位置する。そのため、イラン攻撃を画策するイスラエルにとっては、まさに理想的な位置にある。その視点から見ると本当の危機はホルムズ海峡ではなくこのコーカサス地域にあるともいえる。アゼルバイジャンの首都バクーはカスピ海油田の積み出し港であり、そのパイプラインはアゼルバイジャンを横切っている。
今年2月にはイスラエルは16億ドルの無人爆撃機やミサイル防衛システムの軍事支援をアゼルバイジャンと締結した。無人爆撃機の軍事支援は実はトルコと締結していたのだが、トルコとの関係悪化のためイスラエルはトルコとの軍事支援を破棄してアゼルバイジャンと結んだ。このことはトルコのエルドガン首相を激怒させ、イランの神経を逆なでしている。イスラエルとアゼルバイジャンは経済的にも緊密になりつつある。イスラエルはアゼルバイジャンから石油を輸入している一方、アゼルバイジャンにはイスラエル製の携帯電話からアイスクリームまで溢れかえっている。最近ではイスラエルは中東で数少ない盟友だったエジプトとトルコを失ったため、イスラム国であるアゼルバイジャンの重要度ががぜん増したのである。
アゼルバイジャンにはソ連時代に建設されて現在は使われていない飛行場が4つほどあり、空軍基地も4箇所あるという。米軍の情報筋は、イスラエルがそれらを使うというのは「あり得ない話」と前提しつつもイラン攻撃に執着するイスラエルが使わないという確証もないので、神経をピリピリさせて注目している。アゼルバイジャンを巻き込んだイランとイスラエルの紛争が勃発すれば、中東だけでなくカスピ海も巻き込まれることになりますます世界の石油事情は危機にさらされることになるのである。
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