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2012-03-30 00:00
自民党は責任政党なら消費増税に賛成せよ
杉浦 正章
政治評論家
首相・野田佳彦が消費増税法案を3月30日に閣議決定することを決断したことにより、自民党の責任政党としての対応が焦点として浮上した。自民党は、無責任きわまりない「政局」志向の小沢一郎グループや国民新党代表・亀井静香と一線を画し、国家財政の窮地を見据えた大道を選択しなければならない。それには、消費税法案の賛成に踏み切ることだ。国民の信頼を取り戻し、将来の政権復帰への道は、この選択肢しかあり得ない。小沢、亀井と同レベルの“政争”に終始するなら、既成政党への失望感は抜き差しならないものとなり、総選挙で手痛いしっぺ返しを受けるだろう。国民新党の分裂状態などは、このさい大局とは関係ない。かんなくずのようにぺらぺら燃える亀井の窮地も、政局の本筋から外れた政治家の個人的資質の問題だ。ミニ政党が割れても、ミクロ政党になるだけだ。野田は無視すればよい。閣議決定後通常国会の中・終盤にかけての焦点は、小沢の造反と自民党の対応に絞られる。図式は簡単に描ける。野田と自民党と小沢の3角関係の動向で決まることになるのだ。
まず小沢だが、当面は政務3役などの辞任を軸に政権に揺さぶりを掛けたいのだろうが、グループ内は割れており、勢いに欠ける。ましてや「命を賭ける」とまなじりを決している野田には、利かないだろう。欠員を補充して対処するだけだ。他方、小沢の選択肢に離党はない。離党すれば、与野党から袋叩きに遭うだけであり、疑惑の「小沢新党」では総選挙も惨敗だ。したがって党内にいての条件闘争が本筋だ。消費増税法案の採決に反対するなど、最終的には「野田降ろし」につながる動きを展開してゆくことになる。一方自民党執行部は、まだ消費税に賛成して野田につくか、反対して野田を追い込むかの決断がつかないままで推移している。愚にもつかない防衛相・田中直紀の問責決議案を提出する方針といわれるが、党執行部の政治感覚を疑う。国民は、いくら田中が愚鈍でも、切実感を持って更迭を求めていると思うのが間違いだ。単なる政争の具として血祭りに上げても、誰も自民党を褒めてはくれない。おまけに北東アジア情勢は北朝鮮のミサイル発射予告で緊迫の度を加えている。敵前で馬を乗り換えるのは、いくら駄馬でも愚策だ。相変わらずの政局狙いの姑息な策を弄せず、自民党はこのさい条件を明確にして、消費増税法案成立に向けての与野党話し合いに入るべきだ。
幸いにも自民党総裁・谷垣禎一との極秘会談で、野田はとっかかりをつかんでいる。副総理・岡田克也の大連立への動きもプラスに作用する。もともと自民党は10%の消費増税を参院選挙の公約に掲げており、法案自体に反対する根拠を失っている。問題は、自民党の基本戦略が早期の解散・総選挙を達成するところにある。この戦略は消費増税法案の処置と密接に絡まざるを得ないのが実情だ。しかし、野田は消費税か早期解散かのぎりぎりの選択になった場合には、早期解散で妥協してでも、消費増税法案を選ぶだろう。問題はその選び方だ。谷垣との会談で、成立を前提とする話し合い解散が俎上(そじょう)に上ったが、これが重要な選択肢だろう。また、大連立による対応も考えられる。現行小選挙区制においては、本格的大連立は無理にしても、期間限定の大連立か、昔大平正芳の言った「パーシャル連合」もあり得る。消費増税だけの部分連合だ。自民党の閣外協力もあり得る。すべて早期解散を前提としたものだ。
いずれの方策も、野田と谷垣との間に信頼関係が生まれないと成立しない。その関係が今後親密化するかどうかは、小沢の動きにかかってくる。ところが小沢の造反姿勢は鮮明であり、今後激しさを増しこそすれ衰えることはない。したがって3角関係の常として、一方の関係が冷えれば、他方との関係は親密になる。谷垣は野田に対して「小沢切り」を勧めており、野田は谷垣が増税法案に賛成すれば「小沢切り」に動くだろう。谷垣周辺には民・自党首会談を画策する動きがあり、これは早期に実現して、小沢の「逆流」を防ぐべきだろう。野田は、自民党の主張する最低保障年金の撤回に、もったいぶらずに応じるべきだ。できもしない年金制度に固執する余裕などないはずだ。間違っても自民党が取ってはならない方策は、消費税法案反対の路線である。この路線は「小沢切り」どころではなく、小沢との“協調路線”になってしまう。野党の反対に小沢グループが同調すれば、消費増税法案は否決され得るからだ。野田は政治生命をかけると言っている以上、法案否決を内閣不信任案の否決に等しいものとして、解散に踏み切る公算が大きい。自民党にとってみれば早期解散を獲得できることになるが、消費増税は先延ばしになる。急を告げる国家財政は、政党の党利党略と小沢の個利個略を許す余裕などないのだ。
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