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2012-03-23 00:00
(連載)北朝鮮の衛星発射実験通告の意図と我が国の対応(2)
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
具体的には、例えば、北朝鮮が国際海事機関に通報した計画によれば、打ち上げに用いるロケットの第1段目は韓国南西部の沖合に、第2段目はフィリピン東方海上に落下するとのことである。2009年に行われた実験では、北朝鮮北東部の発射場から打ち上げられ日本列島を飛び越えたが、今回は、北西部の発射場を用いるという。これは、できるだけ日本を刺激したくない意図であろう。日韓間での温度差を作りだそうとしている可能性がある。
北朝鮮の衛星打ち上げは、北朝鮮の国内問題の側面が大部分を占めるが、だからといって、手を拱いていてよいわけではないのは言うまでもない。北朝鮮への対応の大原則は、何を措いても、日米韓の連携である。そして、北朝鮮の意図が体制安定化である以上、日米韓の強力な連携のもと、北朝鮮の体制に不安を抱かせることができるような制裁強化を実施しなければならない。差し当たって北朝鮮のレジームチェンジを目指す必要はないが、余りに「火遊び」が過ぎると、かえって体制の不安定化に繋がることを知らしめるべきである。もちろん、制裁強化に中露が参加してくれることはウェルカムだが、中国などに取り立てて頭を下げてお願いするのは、中国の発言力を必要以上に高めることになり望ましくない。
また、北朝鮮の行為を、最大限に利用し尽くすべきである。政府は、沖縄県に空自の地対空誘導弾PAC3を配備するとともに、イージス艦を展開し、ミサイル防衛を発動できる態勢に入ることを検討している。北朝鮮が実験を行ったとしても直接的脅威になることは皆無に近いが、よい演習の機会になると捉えるべきであろう。さらに、情報収集の名目で、東シナ海における日米合同作戦を強力に実施すべきである。
折しも、中国が尖閣諸島周辺や東シナ海のガス田付近において、海洋調査船を遊弋させ、示威行為を行ったばかりである。これへの牽制になるとともに、北朝鮮を支援している中国に対して、北朝鮮に自制を促す働きかけを行うよう圧力をかけることに繋がる。そして、ミサイル防衛に関して、重要なことは、今回、自衛隊法に基づく破壊措置命令を発令するかどうかよりも、中長期的なミサイル防衛強化のきっかけとすることである。それがどの国を念頭に置いているか、わざわざ言うまでもないことであろう。(おわり)
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