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2012-03-09 00:00
(連載)賞賛すべき奈良県の東アジア政策(2)
山下 英次
大阪市立大学名誉教授
野田佳彦首相は、2011年9月の就任時、「いまは〈東アジア共同体〉などという大ヴィジョンを示す必要はない」として、TPPへ傾斜していったが、そもそも「アジア太平洋」や「環太平洋」などという概念には、歴史的、文化的、民族的に何の共通性もなく、地域概念としての実質的な意味はほとんどない。日本政府も、少しは奈良県に見習い、いつまでも空虚な周辺部分で戯れるのではなく、正面からアジアの中心に入っていくべきである。ドイツは、敢えてヨーロッパにからめ捕られることを選択し、欧州統合の推進に尽力することを通じて、近隣諸国の信頼を勝ち得てきた。
その意味で、わが国は、ドイツの経験に学ぶべきであり、アジア地域統合に尽力することがわが国にとっての長期的な国益に資すると、筆者は信じる。TPPなどという「周辺事項」に、莫大な交渉上のエネルギーを費消するのではなく、いまは日中韓FTAやさらにASEAN+3ベースの東アジアFTA(EAFTA)にエネルギーを集中すべきである。そうして、アジアの成長力を取り入れることの方が長期的にわが国の国益にとって比べ物にならないほど重要であろう。
本邦財務省が、最近、中国当局と欧州危機に関連したIMFへの資金拠出での連携、円と人民元の直接交換のための市場整備に向けた協議の開始などいくつかの日中金融協力で基本合意したが、これは非常に好まし傾向である。世界経済の大きな問題解決には、そもそも日中という世界最大と第2位の純債権国の協力が欠かせない。他の中央省庁にも、このようなアジア地域統合の推進に向けた積極的な貢献を期待したいものである。
ところで、明治維新だけでなく、世界的にも、大きな社会変革は、地方が発端となる場合が少なくない。現在、奈良だけでなく、大阪、滋賀、愛知、新潟、東京など各地から政治的変革に向けた動きが出ているが、いま日本は、間違いなく大きな歴史的岐路に立たされており、こうした地方発の動きが中央での変革を促すことにつながるかもしれない。(おわり)
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