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2012-03-08 00:00
(連載)賞賛すべき奈良県の東アジア政策(1)
山下 英次
大阪市立大学名誉教授
わが国のアジア地域統合に関する政策姿勢が、依然しっかり定まらない中、奈良県が近隣諸国との非常に長い歴史的つながりをベースとした積極的な東アジア政策を展開していることは注目に値する。荒井正吾知事(2007年5月から現職)のリーダーシップの下に、同県庁の地域振興部に東アジア連携課を設けて推進している。2010年は、平城遷都1300年に当たったが、これに向けて奈良県は、2009年1月、「日本と東アジアの未来を考える委員会」を発足させ、それ以来、各種の事業を「弥勒プロジェクト」と称して展開してきている。このプロジェクトは、西暦710年の平城京の建設は、東アジア諸国との交流の中で実現され、日本という国家が、初めて東アジアの国際社会の中で明確に位置づけられたとの認識に立つものとのことである。
同プロジェクトの中心は、「東アジア地方政府会合」である。2010年10月に第1回会合が始まり、昨年10月の第2回会合には、海外からは日中韓にインドネシア、ヴェトナム、フィリピン、インドを加えた6カ国から計26自治体、国内からは16県、10市町村の計26自治体、総計内外52自治体が参加したという。設立趣旨は、今日の地方自治体が直面している行政課題は、地方政府の境界のみならず、国境をも跨ぐため、単一の地域や国家単位での努力のみによっては、種々の問題を解決しえないことが明白になってきているとの認識に基づいている。また、「東アジア共同体」における地方間国際交流の体制構築も視野に入れているという。基本的に毎年開催し、2013年までは奈良で開催することになっているとのことである。
また、同県は、2011年7月、日中韓3カ国の地方政府職員及び大学院生等を対象とした短期集中合宿型セミナー「東アジア・サマースクール〈NARASIA未来塾〉」を20日間にわたって奈良で開催した。こうした試みも、アジア地域統合を推進していく上で意義深いものである。同県は、日本の経済産業省が中心になって2008年6月、インドネシアのジャカルタに設立した国際機関の東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)との連携も密であり、2010年7月には、国際シンポジウム「ERIAリージョナル・ネットワーク・フォーラム2010:地域と未来をつなぐ―東アジア共同体の実現に向けて」を奈良で共同開催した。
このフォーラムには、ASEANのスリン事務局長をはじめアジアの有識者が参加した。筆者も、参加したが、奈良が近隣アジア諸国との非常に長い歴史の遺産を踏まえて、アジア地域統合に関する国際会議を主催することについて、アジアからの参加者も概ねそれを心地よく歓迎しているように見受けられた。また、ERIAは、このほど、東アジア共同体形成に資する優れた活動を行った個人、団体を顕彰する国際賞「平城遷都1300年記念アジア・コスモポリタン賞」を創設したが、その創設記念フォーラムが、今年2月、奈良県能楽ホールで開催された。(つづく)
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