ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2012-03-08 00:00
感動の「朝日官邸通信」による速報
杉浦 正章
政治評論家
普段からちょくちょく見ているのだが、3月7日の朝日新聞の官邸クラブのツイッターをみて感動を覚えた。http://twitter.com/#!/asahi_kanteiにあるが、同日はまるで昔の通信社の復活だ。朝日官邸通信だ。首相・野田佳彦のインタビューを、始まって以来、次々と伝達したのだ。それも11回にわたる発言の速報で、テレビの中継はないから、手に取るように内容が分かった。当然、無料で見られるのだが、料金を徴収している朝日の電子新聞にはなぜか払暁まで全く反映されなかった。ちかごろ電子新聞で落ちこぼれるニュースも多く、どうなっているのか首をかしげる。朝日のツイッターは、その前書きによると「チーム官邸のつぶやきです」とある。「日々の政治取材の裏話や苦労話、心温まる話などなど・・・生き生きした現場の息づかいを、皆さんにお届けしたいです。つぶやくのは、キャップ以下総勢10数人の取材陣」だという。時々刻々と官邸の動静をきめ細かく伝えている。例えば野田とタイ首相・インラックとの7日の夕食会に関して「タイのインラック首相は噂どおりきれいな人でした。気が強そうな目をされていましたが、記者発表での様子を見ていると、まだ首相として余裕がないような印象をうけました」と伝えている。鋭い記者の感性が伝わってくる。
首相インタビューは午後3時17分に始まったが、まず開始に当たってサブキャップAが「新聞各社による野田首相のインタビューがこれから始まります。できるだけつぶやいてみようと思います」と宣言。ついで野田の発言を伝達し始めた。なんと11回にわたる発言報道である。停止中の原発の再稼働、消費増税法案、小沢グループ消費増税に反対問題、話し合い解散などについて発言内容が伝えられた。もちろん「我々の任期は1年半ある。一体改革、復興、原発事故、経済再生、普天間など、やらないといけないことはいっぱいある。それをやり遂げたあとで信を問う。解散を道具にする考えはない」というキーポイントも含まれている。インタビューが終わると、サブキャップAが「約30分で終了です。被災地のがれきの広域処理について国が前面に立って支援する考えを表明したこと、話し合い解散について『まだやることがたくさんある』と答えたことなどが印象に残りましたが、各紙は明日どんなやりとりを最初にもってくるでしょうか」と締めくくった。
こうした報道の仕方は、昔の通信社の独壇場だった。記者会見場では一番前に座っているキャップが重要発言で後ろを振り向くと、記者が会見場を頻繁に飛び出して、連続速報したものだ。それがいつしかまばらになって、速報なしで記事が出てくるケースもある。昔、通信社の政治部長の頃、朝日の幹部から速報のやり方を尋ねられて、詳細に教えたことがあったが、それがツイッターで実現したことは、感無量である。この「官邸のつぶやき」に加えて、朝日は外務省記者クラブによる「朝日新聞霞クラブ」のツイッターもある。https://twitter.com/#!/asahi_gaikouだ。外交・防衛取材班が、主に外務省や防衛省などを中心に普段の取材のこぼれ話などをつぶやいているが、重要な外交・安保問題が浮上したときは、雰囲気をつかむのに役立つ。こうした朝日の姿勢は、時に記者クラブ制度が閉鎖的で癒着がちであるという批判を受けることへの反論となるものでもあろう。取材過程を公開することによって、取材の現状を浮き彫りにさせ、「別に癒着などしていません」と自ら範を示しているのだ。
しかし、首相インタビューの場合、なぜ電子新聞で朝になるまで速報されなかったのか疑問が生じた。朝刊では一面3段扱いで、4面にインタビューの要旨も掲載しているにもかかわらずである。もちろん、読売、毎日、産経、日経はWebでインタビューを報じている。電子新聞に速報欄を設けて「朝日官邸通信」の記事を速報しない手はない。だいいち官邸クラブの努力がもったいないではないか。しかし、他のインタビューも、紙面では掲載されているのに、全く報じられないケースもあった。それどころか特集記事は朝刊が出るまで報道しない。これに対して日経は、特集記事が出来次第電子新聞化しており、電子新聞を取るメリットを感じさせる。朝日は昨年5月に電子版をスタートした際にはもっと速報重視であったが、近ごろ弛緩しているのではないか。読売が電子新聞を出すなら、速報体制と特集記事や社説などの速報が勝負のポイントとなる。検索も、朝日が1年前までしか出来ないが、もっと長期に可能とすれば優位に立てる。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会