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2012-02-24 00:00
鳩山ルーピー発言は、いまや「口害」の域
杉浦 正章
政治評論家
山本リンダではないが、「もうどうにも止まらない」のが「鳩山発言」だ。あらゆる政治現象に首を突っ込んでは、コメントをし続ける。マスコミがこれを報道する。聞いた人や、読んだ人は、内容にかかわらず何故か不快感が先に立つ。恐らく、間違って首相にしてしまったという悔悟の念が伴うからであろう。新聞の投書欄でも、批判が目立つ。いまやルーピーこと元首相・鳩山由紀夫の発言は「口害」になりつつある。1番ひどいのが何と言っても昨年12月の「辺野古以外があるか。私は決してないとは思っていない」という発言。普天間基地移設をめぐって、「海外、少なくとも県外」発言が、ガラス細工であった同問題をぶちこわし、自らの退陣を招いたことも忘れたかのように、いけシャーシャーと語ったのだ。さすがに温厚な官房長官・藤村修も「真意を聞きたい」と不快感を示したものだ。この発言が象徴するものは、やっぱり地球人ではなく、宇宙人であった、ということかもしれない。自責の念などかけらも見られないのだ。
大阪維新の会の公約「船中八策」についても、鳩山は2月23日、「不十分。一切数字が書かれていないが、私どものマニフェストから学ばれたのか」と皮肉った。数字を書いて、ことごとく実現不可能が証明された、自らのマニフェストへの反省どころか、自虐ネタにする“軽さ”である。そのマニフェストについても、「マニフェストを守れない政治家は辞めた方がいい」である。開いた口が塞がらない。隗(かい)よりはじめよ、と言いたい。自説にもこだわり続ける。「環太平洋経済連携協定(TPP)よりアジア共同体構想を優先すべきだ」といった具合だが、同構想が米政府に疑心暗鬼を生んで日米関係を悪化させたことなど、全く分かっていないのだろう。民主党はなんと、その鳩山の“功績”をたたえるつもりなのだろうか、「外交担当最高顧問」とするのだという。これだけで民主党支持率は5%下がる。幹事長・輿石東の判断力はもう少しましかと思ったが、結局ごますりマンであったか。
ここは「外交」担当でなく、逆さに読んで「口害」担当とすべきところだ。朝日川柳の「外交をつい口害と読み違え」が秀逸。本人は、自らの政治理念「友愛」をもじって「由紀夫を友紀夫と改名する」などと、面白くもないだじゃれを飛ばしているが、世のひんしゅくを買っていることなど、つゆほども気づいていない。一般国民も不愉快に思っている向きが多いと見えて、新聞の投書欄にも批判が掲載される。朝日「声」欄には、「辺野古以外にないとは思わない」発言を「懲りもせずにぶち上げた。相変わらずの宇宙人ぶりだ」「マスメディアは、民主党の小沢一郎元代表、鳩山由紀夫元首相の話題を大きく取り上げすぎではないか、と苦々しく思っている」といった批判が載る。
民主党内では、何とか止める方法はないものか、と思案投げ首だ。議員の間では「鳩山発言禁止法を議員立法する」「大阪市長が改憲するついでに、21条の言論の自由を鳩山さんだけ適用除外してもらう」「新聞が『今日の口害』欄を設けて、そこに掲載する」といった珍説奇説が、冗談紛れに語られている。1番いいのはマスコミが取り上げないことだが、仮にも元首相の公の場での発言であるから、取り上げざるをえまい。取り上げて、判断は読者に任せるしかない。かつて引退声明したとおり引退すればいいのだが、本人は発言を撤回。民主党支部は北海道9区の公認候補とすることを決めた。度し難い発言は続き、民主党票を減らす。朝日川柳には「いつまでも残って消えぬ鳩の糞(ふん)」とある。まさに「ふん口害」だ。
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