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2012-02-23 00:00
学習する能力や意思が見られない野田内閣
高畑 昭男
ジャーナリスト
民主党政権には「学習能力」というものがないのだろうか。米軍普天間飛行場移設が米海兵隊のグアム移転から切り離されることになった一連の経過を見ていると、そう思わざるを得ない。女性を侮辱する暴言で昨年末に防衛省の沖縄防衛局長が更迭されたり、一川保夫防衛相が参院で問責決議を受けたりしてから、まだ2カ月ほどしかたっていない。その後を追うように、後任の防衛局長が宜野湾市長選への介入の疑いで問題化した。普天間移設とグアム移転が切り離されることになったのは、その直後のことだった。
野田佳彦政権の問題は、単に防衛局長のあり方だけではない。昨年9月の政権発足以来、2代続けて「素人」防衛相を起用してきたことがすべての背景にあるのではないか。前任の一川氏の失言・放言はいうに及ばず、現職の田中直紀防衛相は沖縄問題ばかりか、憲法や自衛隊など普通の議員が知りおくべき基本知識すらもないことを露呈した。トップがそんなありさまだから、部下の不都合をまともに処理することもできないのだろう。こんな人物で今後、重要な日米間の防衛・安保協議ができるだろうか。任命権者である首相の責任はまさに重大だ。
首相は一川氏の時は「適材適所」と銘を打ち、田中氏を起用した改造内閣では「最善かつ最強」とうそぶいた。両氏の「業績」に照らすと、いずれも聞いてあきれる感覚としかいいようがない。首相は口を開けば「普天間移設促進」というが、その実は地元の信を自ら失い、移設を困難にしてきた。心ある沖縄県民や米国から見れば、「移設つぶし」ともいえる結果を招いている。
このままでは防衛省の士気の低下に加えて、米国の対日信頼も失われていくことが国の安全にとって何よりも心配だ。野田政権だけでなく、鳩山由紀夫、菅直人元・前政権から3代続けて民主党の人々は何をどう学んできたのだろうか。有名なパブロフの犬だって、条件反射で痛い目を見れば学習する。この政党、この内閣には、学習する能力や意思がみられない。
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