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2012-02-21 00:00
消滅の危機の国民新党と小沢チルドレン
杉浦 正章
政治評論家
「沈む船からネズミが逃げる」というが、まだ「沈む」と分かってもいないのに、ジタバタと見苦しいのが、国民新党と小沢チルドレンだ。政治権力の蜜になんとしてでも吸い付きたい代表・亀井静香の「泥亀スッポン」が、おひいさま「亀姫」亀井亜紀子をたぶらかして、論理矛盾の消費増税反対宣言。やがては連立与党解消も視野に入れているに違いない。チルドレンは選挙情勢調査で落選必至の結果が出て、「新党」へとなびく。一世を風靡(ふうび)した「小沢ガールズ」も、いまや「徳川幕府崩壊時の大奥のように右往左往」(民主党幹部)だという。世が世なら旧津和野藩藩主・亀井伯爵家の直系姫君である政調会長・亀井は、かねてからなかなか賢い女性だと思っていたが、2月19日のNHK討論ではがっかりした。泥亀代表の言うがままを露呈したのだ。消費増税に反対なのに大綱の閣議決定に反対しなかった理由について、「大綱の中に書かれていることは実現不可能なので黙認しろ、という代表の大局的判断で行った」と内情を語ったのだ。即座に民主党政調会長・前原誠司が「それなら閣議決定に賛成すべきではない。全くの論理矛盾」とたしなめたが、亀姫は記者団にも「スタンスは変えてない。消費増税はずっと反対」と言い切った。幹事長・下地幹郎が、陳謝して回ったが後の祭り。国民新党の分裂ぶりを露呈してしまった。
それでは静香の支離滅裂な「大局的判断」とはなにかを分析すれば、「石原新党」結成までは大人しくしようということに尽きる。消費増税に賛成の石原のご機嫌を損ねてもまずい、という党利党略が「大局」というわけだ。静香は、たったの衆院5人で民主党との連立を果たして、それなりの存在感を示すことが出来た。ここで“政権の蜜の味”が、遠ざかる事に焦燥感を感じているのだ。人間の業というのは限りがないもので、いったん権力の座の味を知ると、能力がなくてもしがみつこうとする。その姿勢は、大きな魚に寄り添って、おこぼれにあずかるコバンザメ型だ。総選挙の展望は惨たんたる状況であり、このままでは衆院選で消滅の危機が待っている。そこで寄り添う相手を都知事・石原慎太郎に移した。先に、衆院議員・中島正純(大阪3区)を、民主党現職のいる東京23区で擁立すると発表したのも、石原の力を利用しようとする作戦だ。静香は新党が可能となれば、石原人気を利用できる選挙区に次々鞍替えさせる戦略のようだ。もう持論であったはずの郵政改革法案成立などは眼中にはなくなったようにみえる。そこには政治家に不可欠な信条・信念はなく、口先八丁で離合集散の中から活路を見いだそうとする政治屋の姿しかない。
民主党にしてみれば、小沢グループが造反すれば別だが、衆院は291議席あるからやろうと思えば増税法案を強行採決できる。したがって5人の国民新党はどっちみち不要だ。参院4人は、もともとねじれで野党が優位だから、与野党協議で話し合いがつかなければ不要。消費増税という大目標のためには、国民新党などは与党でなくても十分なのだ。野田は増税法案閣議決定で反対に出れば、切って捨てるくらいの覚悟は出来ているのだろう。一方で、小沢チルドレンにも動揺が走っている。小沢が昨年末からチルドレンに選挙区帰りを勧めている理由は、党の選挙情勢調査で104人の小選挙区の新人のうち、8割が落選の可能性ありと出たからだ。もともと「風」だけで当選したチルドレンは、小泉チルドレンと同じで、政治的に見れば「1期限りの使い捨て」の側面が濃厚だ。小沢が消費増税に反対しているのは、連動した解散・総選挙で勢力消滅の危機に瀕しているからだ。ここは何としてでも解散・総選挙を遠ざけて、態勢の立て直しを図らないと、小沢の政治生命も消滅の危機となる。少なくとも9月の代表選までは、勢力を維持しなければならないのだ。
しかし、チルドレンの実態は、新人議員らが新党きづなを結成したことが物語るように、遠心力が強く作用している。「維新の会」からの出馬や「石原新党」に活路を見出すべく、その成り行きを固唾をのんで見守っているのが実情だ。しかし、度し難いのは、柳の下にドジョウが2匹いると思っている甘さだ。小沢は政治塾でチルドレンもガールズも「人生あきらめが肝心」と教えなければなるまい。自民党総裁・谷垣禎一が朝日の社説のまねをして、野田に「足元を固めないと駄目だ。小沢氏と首相が一対一で話し、『賛成するなら一緒にやりましょう。反対するなら出て行って下さい』と整理しなければ、政治の力は生まれてこない」と小沢グループ切り捨てを勧めた。しかし勧めるまでもなく、自壊作用は生じており、小沢は食い止めに懸命だ。当分目が離せない状況が続く。
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