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2012-02-20 00:00
馬政権は経済に集中せよ
岡崎研究所
シンクタンク
台北タイムズ1月15日付の社説が、馬英九の当選を受けて、馬は公約通り北京との政治対話を避けて、経済に集中すべきだ、と論じています。すなわち、馬英九を応援してきた北京は、馬が再選されたことで、今度は馬が北京との政治的話し合いを進めると期待しているだろう。しかし、馬は、選挙中、北京との政治的対話には入らないと言ってきたのだから、台湾のメディアと国民は、馬がこの公約を守るよう監視しなければならない、台湾国民が期待しているのは、今後4年間に馬が経済を振興し、生活水準を上げてくれることであり、馬は経済に専念すべきだ、と言っています。
台湾総統選挙が終わって馬が再選された今、誰しもが一番関心を持つのは、今後4年間に中台関係に政治的進展があるかどうかでしょう。馬は、政権第一期には、中国本土と政治協定を結ぶことを公約に掲げながら、実施できませんでした。理由は、それをすることが世論で評判が悪く、民主主義の台湾では再選の妨げになるからでした。他方、中国側には、馬が再選されず、民進党政権になった場合も、これまで通り台湾政府に経済的優遇措置を与え続けてよいのか、というディレンマがありましたが、馬の再選でその問題は無くなりました。しかし、4年後の選挙で国民党が再び勝つ見通しがかなり低くなっている今、中国は、当然、今後4年の間に政治関係を進展させようと思っており、これが今後の最大の課題となるでしょう。
振り返ってみると、4年前の選挙で国民党が勝った時は、北京が軍事的、政治的圧力を動員して中台間の政治関係を進めると予想され、巷間、「オリンピックの後に危機が来る」、また、オリンピックが過ぎると、「上海万博の後に危機か」、と言われましたが、結果的に何事も起きませんでした。それをもたらしたのは、一つは、中国の軍備増強は目覚ましいとはいえ、米国が介入してきたら、それに勝つ力はまだないという客観的情勢であり、もう一つは、台湾の民主主義でした。つまり、本土との政治的接近は、国民の評判が悪く、次の選挙に悪影響を及ぼすことが明白だったので、馬政権はそれ以上先に進めなかったのです。
今後4年間もまた同じ様な状態が続くと予想して良いのではないかと思われます。それを打破するには、中国が、(1)米国に外交的に働きかけて米国の説得で台湾に統一を納得させるか、(2)直接武力を以って脅迫するしかありませんが、どちらも可能性は低いでしょう。とすると、今後の見通しは、第二期馬政権の間に、中国接近の方向に更に微調整することはあっても、大体現状通りで4年後の選挙を迎えるということではないかと思われます。要するに、台湾は民主国家であり、国民の総意が無い限り、中国と接近する方向に引っ張って行こうとしても限界があるということでしょう。中国がそうした現実を認めて、現状維持を正式の政策として認めること(武力解放を放棄すること)こそが、台湾問題の長期的解決策かもしれません。
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