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2012-02-16 00:00
(連載)オバマ氏の「中間層戦略」の中身は?(2)
高畑 昭男
ジャーナリスト
もちろん、かつての「エンロン事件」などのように、不当利得をかすめ取る悪質な経営者に厳罰で臨むのは当然だ。しかし、健全な成功者を罰するかのような増税は、結果としてビジネス界やひいては民間基金、財団の活力を奪い、富裕層の逃避すら招くのではないかと心配になる。また、年収25万ドル(約1900万円)といえば、米国でもかなり豊かな層といえる。この金額で「増税・非増税」を分断するのは、やや政治的で恣意的な印象を受ける。共和党が「一方では超党派の協力を求めるふりをしながら、実質は国民を分断するポピュリスト手法ではないか」と反論したのはそのせいだろう。
実際、冒頭の新著「オバマ夫妻」では、閉じこもり気味だったオバマ氏が再選の決意を固めた最大のきっかけは、増税に反対して極端に「小さな政府」を掲げる「茶会運動」に対して、強い敵愾心を抱いたからだったと書かれている。中間層の味方を掲げるオバマ氏が、実はかなり「大きな政府」を目指すリベラル思考にこだわっていることが示されている。
「機会の平等か、所得の平等なのか」の議論や社会的セーフティーネットをどう設定するかは難しい問題で、奥が深い。とはいえ、選挙となれば「何でもあり」の技巧や戦術がものをいう。とりわけ秋以降の本選では、党員や無党派層を含めて「バイタル・センター」(死活的に重要な中間層)と呼ばれる層の心をしっかりとつかむ戦略と宣伝が欠かせない。
オバマ陣営の本心は4年前の草の根リベラル層の再結集にありそうだが、そうした本音を覆い隠すカバーとして、「中間層の味方」という大看板を立てたのだとすれば極めて巧妙であり、手ごわい戦略に出てきたといえそうだ。共和党の候補者選びは混戦模様に陥っているものの、ここでも欠かせないのは中間層対策だ。オバマ流とは中身の異なる「中間層戦略」を誰がどう打ち出してくるのかを注目したい。(おわり)
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