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2012-01-27 00:00
「ますます高まる『民主国家台湾」の戦略的重要性」を読んで思う
中山 太郎
団体非常勤職員
1月25日付けの姉妹政策掲示板「百花斉放」に掲載された高峰康修氏の投稿「ますます高まる『民主国家台湾」の戦略的重要性」を読み、感ずるところがあったので、その感想を述べる。読み応えのある論述であることは確かだが、しかし、次の視点も忘れてはならないのではないだろうか。それは、このように日本にとって得な面ばかりを取上げて論陣を張るのは、相手のある国際社会では、上手く行かないのではないか、ということだ。基本は、日米が真に「自由・民主」「民族自決」を掲げるのなら、あくまでもこの問題は台湾人民の決定によらなければならない、ということだ。
いわゆる「台湾問題」は、日本においては、1972年の日中国交正常化において、二階堂官房長官記者会見談話(同年9月29日)において、簡単に触れているのみであるが、米国においては、1972年2月28日の「上海コミュニケ」において、aknowledge とrecognize を巧妙に使い分け、極めて高度な外交テクニックを使って処理している。米中国交正常化まで、7年の時間を費やし、同時に台湾支援のための「台湾関係法」を制定している。米国は、政権交代にかかわりなく中国に対し武器売却その他の有力な外交カードを使用できる仕組みを取っている。
翻って、わが日本は、キッシンジャーの秘密外交にいきり立ち、あまりにも拙速であった。この点では、昨日1月26日の北岡伸一東大教授の最終講義(小生は、東大卒ではないが、一般市民として拝聴した)が参考になった。北岡教授は、近衛内閣の外交の失策に触れ、「蒋介石を敵とせず」宣言は、交渉相手をなくすことで、日中戦争の解決を極めて困難にしたと指摘し、日清戦争当時の指導者伊藤博文などは、袁世凱をつぶさないよう多大の配慮を行なったとも述べた。また、1938年の近衛内閣の「東亜新秩序声明」は、日米対決の端緒となったことを取上げ、外交当局を枠外に置いた外交転換の危険を説かれていた。
高峰投稿の趣旨が「公然とした中台分離」論にあるとすれば、それは台湾人民から見たら「余計なお世話だ」ということにならないか。「もっと上手く応援してもらいたい」とこぼすことだろう。台湾が200億米ドルと言う、他の国々をはるかに超える寄付を東日本大震災で行なっていただいたことは、どれほど感謝してもしきれないし、李登輝元総統の日本への造詣の深さや好意には、胸熱くなる。台湾の人々の日本びいきは、歴史問題で近隣諸国と常時揺れ動く環境の中で有難いことではある。しかし、国家の友好と個人の友情とは違うことを再認識すべきだ。あれだけ日本ひいきだったアルゼンチンは、日本がフォークランド紛争において英についたときは、一夜にして変わった。
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