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2012-01-26 00:00
小泉ジュニアは自民党の希望の星か?
杉浦 正章
政治評論家
辛気くさい老齢政治家が多い自民党で希望の星扱いされているのが、青年局長の衆院議員・小泉進次郎(神奈川11区・当選1回・30歳)だ。歯切れのいいコメントがテレビうけするのか、しょっちゅう出てくる。それも父親純一郎に勝るとも劣らない説得力がある。その純一郎は、離婚してクレイマークレイマーで進次郞を育てるに当たって、言葉使いのイロハから教育した。おそらく政治家としての素質を見抜き、「言葉が命」の政治家稼業の基礎をたたき込んだのだろう。風貌・性格もよい。読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆の渡辺恒雄が朝日のインタビューで「若手なら小泉進次郎君がいい。TPP(環太平洋経済連携協定)参加など、民主党に賛成できるものは堂々と賛成して法案を通せばいいと、自民党を批判しているからだ。おやじのようにべらんめえじゃないし、高飛車でもない」と褒めあげている。民主党政策調査会長代行・仙谷由人も「敵ながらあっぱれ」と言うのであろう、「テレポリティクス時代の天才」と持ち上げた。どうも進次郞には“爺殺し”的な側面があるようだ。しかし仙谷も「一般的に天才と言ったわけじゃない」と付け加えている。「浅薄なテレビ政治時代の天才」と言う意味の皮肉も混じっているようだ。
小泉の発言を分析すると、一つは父親のワンフレーズ・ポリティックスの影響が色濃い。また白黒を断定的に形容することも父親似だ。もう一つは発言が欧米流、とりわけ米国流のレトリックに満ちていることが分かる。現在の大統領選でみられるように、相手の虚を突く修辞技術に長けているのだ。これはコロンビア大学大学院に留学し、ジェラルド・カーティス教授に師事して、政治学修士号を取得していることからもうなずける。遠くはケネディ、近くはオバマに代表される米国大統領の弁舌の巧みさを学んできたのであろう。直近の例では、首相・野田佳彦が麻生太郎の施政方針演説で消費税に前向きな発言をしたことをとらえて「政局より大局を」と訴える根拠にしたことをやり玉に挙げている。小泉は「もし、野党の時に野田首相が『首相の思いと同じです』と言っていたら、説得力がある。でも、麻生首相の麻生内閣不信任案の賛成討論をしたのは首相だ。ちょっと説得力がない」と批判している。
野田はぐうの音も出ないはずだ。虚を突くレトリックの典型だ。まだある。昨年末に国民新党代表・亀井静香が新党に動いたことについて小泉は「新党、新党と言うが、言う人が新しくない」とばっさりと切った。怖いもの知らずの度胸もある。自民党がTPP反対で気勢を上げている最中に「自民党は参加が拙速だというが、私は遅すぎると思っている」と言い切った。自民党前参議院政策審議会長の山本一太がブログで「胆力がすごい」と褒めちぎったほどだ。もっとも機微に触れる発言は巧みに避けているようにも見える。野田の消費増税での与野党協議提唱には、自民党内にも同調する意見が多いが、小泉はTPPのように旗幟(きし)を鮮明にしない。逃げているのか満を持しているのか知らないが、小泉自身の是是非非論法で言うなら、やはり「政局より大局」支持でなければなるまい。
しかし、「巧言令色鮮(すくな)し仁」の例えもある。オバマが米国民にその卓越した弁舌故に飽きられてきたことが象徴するように、小泉はテレビメディアの“使い捨て”にやがて直面する危険がないわけではない。かつての新自由クラブの政治家たちに象徴されるように、あまたの政治家が彗星の如くテレビに登場し、やがて消え去っていった例がみられる。父親純一郎も長い下積み修行時代を経て、花を咲かせたのだ。何と言っても政治家は不断の勉強から出てくる鈍い底光りのような光り方が重要なのだ。クリスマスの電飾型では長続きしない。仙谷が政治家の在り方として「テレビに取り上げられなくても、お互いに切磋琢磨の議論をすることが若い時代には重要だ」と述べているとおりだ。ちゃらちゃらしたおべっか評論家やテレビの司会者に持ち上げられて喜んでいると、大きな落とし穴に落ちる。総裁・谷垣禎一の体たらくに永田町では冗談半分に「小泉総裁」説が流されているが、まだ20年早い。
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