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2012-01-20 00:00
(連載)ライス氏のカゲキな回顧録(1)
高畑 昭男
ジャーナリスト
米国の外交安保政策をめぐり、ブッシュ政権の当事者たちが回顧録を通じて活発な論戦を展開している。ブッシュ大統領(肩書きはいずれも当時)本人の回顧録は2010年に出版されたが、2011年には2月にラムズフェルド国防長官が回顧録を出版し、8月末にチェイニー副大統領が「私の時代」を出版した。続く11月には、ライス国務長官の回顧録「最高の栄誉」が世に出た。
中でもライス氏の本は、出版社が「驚くべき率直さ」と銘打った通り、イラク、アフガニスタン、中東和平、ロシアのグルジア侵攻などの重要な場面で、外国首脳や要人らと交わした会話が直接引用形で次々登場する。読んでいて「ここまで書いていいの?」と思うほど生々しい。相手が故人ならまだいいとしても、存命の指導者たちにとっては、「チョー危い暴露本」といえなくもない。
2008年秋に国務長官として初めて訪問したリビアでは、カダフィ大佐と会談する条件として、二人だけの晩餐に無理やり招かれた。国際会議などでライス氏が写っている写真を多数収集したアルバムを何冊も見せられたり、カダフィ氏の命令で同国の作曲家に作らせた「ホワイトハウスの黒い花」という賛歌まで贈られたそうだ。今は亡き大佐は、ライス氏を「アフリカのプリンセス」と崇拝していた話が伝えられるが、実際にそのストーカーぶりと異常な行動が詳密に描かれている。
また、北京五輪の年に起きたロシア軍のグルジア侵攻後に行われた米露協議での問題発言も暴露されている。ライス氏との二人だけの電話会談の中で、ロシアのラブロフ外相は、対グルジア和平のための3つの条件を示し、「ここだけの話だが、サーカシビリ(グルジア大統領)をクビにすることが和平の3つ目の条件だ」と要求してきたという。これを聞いたライス氏は「民主的に選ばれた国の指導者の更迭を要求するなどもってのほかだ。オフレコにもしない」と怒り、英仏などの主要国や国連安保理事会にラブロフ氏の不当な要求を公開してしまった。秘密の要求を告げ口されてしまったラブロフ氏は、「外交会話を公表するとは儀礼違反だ」と激しく反発したものの、後の祭りだった。周辺諸国の主権など無視して省みないロシア現政権の体質がよくわかる。(つづく)
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