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2012-01-18 00:00
危機が続く国、さらに危機が高まる国―2012年の予測―
川上 高司
拓殖大学教授
2012年の元旦は世界を見回してみても比較的穏やかだった。しかしだからといってこの1年が穏やかとは限らない。危機的状況にある国や地域は相変わらず危機にあるか、さらに悪化している。
その中でも最も危機的状況に陥っているのがパキスタンであろう。昨年以来米パ関係は最悪になっただけでなく、国内政治でも最悪だった状況がさらに悪化しているようである。11日にはパキスタンのジラニ首相は軍出身のナイード・ハリド国防相を更迭した。昨年の「メモ疑惑」―駐米パキスタン大使が、マイケル・ムラン統合参謀本部議長(当時)に「軍のクーデターが起こった時は介入してほしい」と支援を求めるメモを送った事件で軍と政権との関係が悪化して危機的状況に陥った。このときザルダリ大統領は一時ドゥバイに滞在しクーデターの噂が流れた-以来政権と軍の関係は険悪になっているところへ、さらに関係を悪化させる事態となった。軍はこの更迭には怒っており、またもやクーデターの噂が流れている。ザルダリ大統領がすかさず「個人的用事」でドゥバイを訪れたことも「亡命では」との憶測を呼んだ。
もっとも、カヤニ参謀長はクーデターには乗り気でない。パシュトゥ人の部族地帯での任務に忙しいというのがその理由だが、その地域にしてもアメリカの無人爆撃機による空爆は続いており国民のアメリカへの反感は増大している。親米政権といわれるザルダリ大統領がもはや国民の支持を失っていることは周知の事実であり、クーデターをしても成功率100%であるなら時期にはこだわらないというカヤニ参謀長の余裕さえ感じられる。折しも前大統領のムシャラフが帰国の意志を表明しており、いまだに軍と密接につながっているムシャラフの帰国時期が鍵となるだろう。
パキスタンとの関係はアフガニスタンの情勢を大きく左右するので、2014年の撤退開始を予定しているアメリカにとってもパキスタンの国内政治には無関心ではいられない。外交政策では失点が少なく高い評価を受けているだけに、大統領選挙を目前にしてオバマ大統領の心配は強まるばかりだろう。
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