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2012-01-13 00:00
2012年問題は日本を直撃する
田村 秀男
ジャーナリスト
いよいよ2012年に入った。米ナショナル・ジオグラフィック誌によれば、同年中に地球が終末を迎えるという「仮説」や「予言」が8件もある。代表例が古代マヤ暦で、12年12月21日が人類最後の日だという。そんなバカな、そもそも古代マヤ文明はスペイン人の到来による自身の滅亡を予言できなかったではないか、と一笑に付すのが知性ある者の思考というものだが、年末に2012年の国際政治経済情勢を議論する某テレビの長時間討論番組に出たら、国際政治学者が盛んに「12年危機」を唱えていた。
確かに世界政治の暦をみると2012年は特別の年だ。まず北朝鮮はかの将軍様金正日総書記の死亡を受けて、息子の金正恩氏による権力継承が本格化する。1月14日は台湾総統選、3月4日ロシア大統領選、3月6日米大統領選前哨戦開始、5月6日フランス大統領選、10月中国共産党大会で習近平体制に移行、11月6日米大統領選、12月19日韓国大統領選とめじろ押しである。おまけに、日本では政局が一挙に流動化し、6月解散総選挙説が浮上している。まさか権力者の交代が地球存亡の危機をもたらすわけではないだろうが、局地的な騒擾が世界危機に転化しうる。
まずは北朝鮮。権力基盤が弱い金正恩氏が父親の瀬戸際戦術をとって、核搭載可能な新型ミサイルの発射実験に踏み切るとか、飢えに耐えかねて大量の難民が中朝国境の豆満江や鴨緑江を渡り始めたら、中国軍が出動し、朝鮮半島情勢は一挙に緊迫化する。すると韓国ウォンが急落、続いて中国の不動産バブルを膨張させてきた中国系の投機マネーが一斉に逃げだし、不動産・株式市場が暴落する。株式市場の動揺は東京を含む東アジア全域に広がる。台湾情勢からも目が離せない。台湾独立派の影響を受けている民進党総統候補の蔡英文氏が中国に傾斜する現職の国民党馬英九総統を破れば、台湾海峡は緊張しよう。中国が軍事行動を起こせば、上記のような市場波乱が中国はもとより東アジアに広がるだろう。中国の胡錦濤総書記は2011年から「レームダック」(権力基盤の弱体化)のために、軍部を押さえられないのが実情だ。であれば半島や海峡情勢緊迫化を止められそうにない。
欧州のほうは、先の欧州連合(EU)首脳会議で英国を除いて合意した財政規律強化が進まないようだと、ユーロ危機再燃が不可避だ。大統領選を控えたフランスは緊縮財政をとりにくいし、ユーロの盟主ドイツはギリシャ、イタリアなどへの財政支援を拒む。信用不安のために資金調達できなくなった欧州金融機関は域外への投融資を引き上げる。特に韓国など東アジアは政治情勢不安からターゲットになりやすい。米国は内向きになっており、独仏に「何とかしろ」と言うばかりで、何もしない。こうみると、今年の政治情勢の混乱は、結局、グローバルな株式など金融市場の波乱に行き着く。財務省など官僚の言いなりのままデフレ・超円高不況を悪化させる政策しかとってこなかった野田佳彦政権だが、解散総選挙ともなれば危機管理すらおぼつかない。日本は世界のどの国よりもリーマン・ショックによる打撃を受けた。その二の舞いになりかねない。
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