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2011-12-23 00:00
(連載)国民との「絆(きずな)」づくりを忘れた首相(1)
高畑 昭男
ジャーナリスト
2011年の「今年の漢字」に選ばれたのは、「絆(きずな)」だった。流行語大賞のベスト10にも入った。東日本大震災という未曾有の国難に、日本人が共に立ち向かった勇気と信頼の基盤を裏書きするような言葉である。家族、友人、恋人同士などが互いの安全と幸せのために、自らの犠牲をもいとわない。住民同士、兵士と住民の触れ合い、そして同盟で結ばれた米軍と自衛隊の関係もそうだ。日米共同で展開された「トモダチ作戦」も、そうした心と心の絆の大切さを改めて確かめさせてくれたように思う。
その一方で、この年末には国民との「絆」を自ら失うような政治家の行動も目についた。臨時国会最終日の9日、参院本会議で賛成多数で可決された一川保夫防衛相、山岡賢次国家公安委員長(消費者担当相)の問責決議に対する野田佳彦首相の対応である。一川、山岡両氏の言動がいかに閣僚にふさわしくないかは、あえて詳述するに及ぶまい。
「安全保障の素人」を自ら公言するような防衛相の存在は、ただでさえ周辺国に足元を見られ、同盟国の信頼を損なうに決まっている。自衛隊員の士気も失わせる。ましてや、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の強引な海洋進出などで日本の安全保障環境がとみに悪化している時だ。日米同盟の備えを確実にするために米軍普天間飛行場の早期移設が求められているというのに、普天間問題の原点も経過も「詳細には知らない」と国会で答弁するに至っては、開いた口がふさがらない。普天間移設とセットになっている米海兵隊のグアム移転経費について、米議会が来年度予算から全額を削除したのも「これでは進展は望めない」と判断したからだ。
マルチ商法に絡んで「疑惑がスーツを着たような人だ」と酷評された山岡氏も含めて、9月の組閣時に首相が「適材適所」と胸を張ったのは、わずか3カ月前のことである。両氏への問責決議は「このような多くの問題を抱えた大臣を選んだ野田総理の見識を疑わざるを得ない」と付言している。にもかかわらず、首相は自身の任命責任を問われるのを恐れたのか、両氏の更迭を拒み、「厳粛に受け止めるが、法的拘束力があるわけではない」と続投させる強気の構えを示した。いわば開き直りともみえる対応だが、これに対する国民の反応は早かった。(つづく)
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