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2011-12-18 00:00
アメリカ大統領選
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
来年11月に迫った大統領選挙に向けて、久々に9%を切った失業率はオバマ大統領に微風の追い風というところだろうか。ねじれ議会によって悉く国内政策をブロックされているホワイトハウスの苛立ちは、逆に共和党の無責任さをアッピールする材料にならないでももない。かたや予備選に向けて、例によって候補の鍔迫り合いが続く共和党は、急速にのし上がってきていた黒人実業家ケイン氏が女性問題でレースから退場。有力候補のロムニー、ペリーを抑えてギングリッチが俄に浮上中、という昨今である。
これだけの長丁場を戦い抜く、というのは資金的にも、エネルギーも、なまじっかのことではない。首相候補選定プロセスが全く明白になっていない日本から見ると、いっそ爽やかな感じもしないではないが、さて議論の中味の方を拝見すると、どうも余り大したことはない、という点で彼我共通するとでもいうべきか。共和党について言えば、予めのお約束というのは、大きい政府は許し難い悪であり、富裕層への課税強化は合衆国存立基盤に対する挑戦である、という点だろうか。その上で取り込みを狙う支持者層に向けたいくつかのコメントが柱として打ち出される。だから基本的な論点そのものよりは、お人柄とか当意即妙さ、さらには失言の有無みたいなところに焦点が当たる。
だから大きい政府大反対党の大統領候補ロムニー氏が、マサチューセッツ州知事としてオバマ案とほぼ同じ内容の健康保険制度を成立させた、なんていうのは余り問題にしない。野田総理に貴方はかつて消費税に反対したではないですか、とは言わないのと同じだ。まあ、それでよいのかもしれない。A候補とB候補の間にそんなに驚天動地の政策の違いがあったのでは、それこそ政治にならない訳で、自衛隊憲法違反、自衛隊の手から救援物資を受け取ってはならない、とハンドマイクを握って力説していた辻元さんが阪神淡路の時のままでは、政権党の一角を占めるなんて夢のまた夢、というのと同じことだ。
視点を変えると、原理原則にかなりの違いがある立場同士で、その違いを際だたせることなく、むしろ共通点を模索する知恵、と言えなくもない。もっとも、皮肉に言えば鷺を鴉といいくるめる狐と狸の問答と切って棄てることも出来ようというものだから、評価は相対的ということだろうか。小党分立と二大政党制の違い、というのはこの調整過程の内部化ということなのだろうが、それが本当の省エネに繋がっているのかどうか。問い直してゆくと、少数意見の尊重というのはどういうことか、という話にならざるを得ない。死票を少なくするのは良いことだから比例代表制を極力導入しよう、という立場を取れば、意見調整プロセスについての約束事の存在が前提になる。さもなければ最後にキャスティング・ヴォートを握る少数専制になることは見やすいからだ。さてそんなものが日本に存在しているんだろうか。野田さんと小沢さんの顔を思い起こしただけでも薄ら寒い感じにとらわれるのだが。
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