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2006-07-07 00:00
共同体構想は手の届くところから取り組むべし
関 士郎
会社員
「CEACコラム」でジョゼフ・キャロン駐日カナダ大使が2月15日に日本記者クラブ行った講演のテキストを読みました。地域の経済統合は経済目的以外の目的を達成できるかとの問題提起を行い、「アジア太平洋経済共同体は経済発展だけでなく、政治的な絆を強め、安全保障を高めるためにも貢献している」と肯定的な結論を導いておられることに注目しました。
「異質な諸要因と多くの問題を抱えるアジアで共同体などは夢物語」との見解がありますが、私は経済を中心として可能なところから協調を進め、域内統合の進化をはかるとともに、協調・統合を目指す分野を拡大していくことで、アジアにおける共同体形成も十分現実性を持ち得るとの意見であり、キャロン大使の指摘はそうした漸進的アプローチを肯定するものと心強く感じました。そこで、この場を借りて、私見を若干敷衍してみたいと思います。
地域共同体の成功モデルである欧州を見ると、欧州石炭鉄鋼共同体に始まって欧州経済共同体(EC)となり、現在の欧州共同体(EU)になり、そして今なお更に進んだ統合に向けて進化し続けています。アジアの多様性、複雑性から欧州の事例は当てはまらないとの議論を耳にしますが、上記過程は欧州にとっても決して容易な道のりではなかったと思います。二十世紀に入ってからだけでも、欧州の大多数の国が敵味方として戦った二度の大戦があり、またイデオロギー、政治制度を異にする東西ブロックへの長期にわたった分断がありました。不可能と思われるようないくつもの困難を乗り越えることができた背景には、欧州に独自の条件があり、また幸運に恵まれた面もあったかもしれません。けれども限定した目的の下で始まった活動が、次のステップを可能とする条件を生み出してきたことも事実と思います。経済共同体が形成されると、拡大した市場と一層自由な経済活動の恩恵を域内市民が共有することとなり、相互理解と共同体意識が促進され、更なる統合への機運醸成を後押ししたのだと思います。
アジアは多様、複雑であり、文化や考え方の相違が大きいことは事実ですが、主眼をそこにおくのではなく、まずは手の届くところを目標に行動してみることが重要と考えます。
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東アジア共同体評議会