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2011-11-04 00:00
インド洋と南シナ海をめぐる海軍会議の提唱
岡崎研究所
シンクタンク
ウォールストリート・ジャーナル9月5日付で米Asia-Pacific Center for Security StudiesのMohan Malik教授が、中国海軍がインド洋に進出し、インド海軍が南シナ海に進出している中で、将来の衝突を避けるためには、この地域における共通利益を論じる目的で、米、日、韓、中、豪、印、インドネシアによる海軍会議を開くのが望ましい、と論じています。
すなわち、今やインドの東アジアとの貿易量は、欧州や米国との貿易量を上回っており、インドの貿易の半分以上はマラッカ海峡を経由して行なわれている。また、インド海軍は南シナ海にも進出し、インドの軍艦、INS Airavatがベトナムを訪問していることが示すように、ベトナムと緊密な関係を築こうとしている。ベトナムはインドにとって、中国にとってのパキスタンのような位置付けになるだろう、もちろん、中国はインド海軍の南シナ海進出に反発し、米、日、越、シンガポールによる共同演習にインドが参加したことにも抗議した、こうした趨勢がこのまま続けば、海洋をめぐる中印の対立と競争は今後10年か20年内に表面化することになるかもしれない。その時には、太平洋にはインドの空母、インド洋には中国の空母が配備され、双方が表向きは互いの海上交通路を守ることを理由に掲げるだろう、軍事衝突の危険を避けるためには、相互信頼と紛争回避の合意が必要だ。1972年の米ソ海上衝突回避協定はそのための良い参考になるだろう。また、多数国間の会議も有益であり、米、日、韓、中、豪、印、インドネシアの海軍の司令官による海軍会議のようなものが望ましい。あるいは、それが無理なら、米中印日の4ヵ国海軍会議でもよい。そうしないと、錯綜する利益がアジアの平和を脅かす恐れがある、と論じています。
中国海軍のインド洋進出は、「真珠の首飾り」という表現で従来から注目されてきましたが、インド海軍の南シナ海進出を論じたのはこの論説が初めてではないかと思われます。特に、インドとベトナムとの関係の深さは、従来の中国=パキスタン関係とは比べ物にならないでしょうが、新しい傾向として注目に値します。
ちなみに、1980年代末に中国が南沙群島まで南下して来た時、当時のタイの総理大臣が訪タイしていた日本の防衛庁長官に対して、中国を抑えるための日タイ共同海軍軍事演習を提案したことがありました。集団的自衛権を行使出来ない日本はそれには回答しませんでしたが、集団的自衛権というような神学的論争を知らない外国が日本の海軍力を考慮に入れるのは当然であり、ここでも当然のように日本の参加を呼び掛けています。国際会議への参加ならば特に問題もないでしょうから、日本のシー・レインに対する役割の一つの突破口として、この種の提案には前向きに対処すべきだと思われます。
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