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2011-10-25 00:00
解散は「見えぬけれども、あるんだよ」
杉浦 正章
政治評論家
「解散はいったいどこへ行った」「う~む、見つからん」これは大局観のない政治の素人の床屋談義。玄人は見つからなくても、見つけるのだ。まず一番可能性がないのが、任期満了による衆参ダブル選挙。可能性があるのは、来年3月以降、通常国会末までの解散だ。野田政権は年内解散はしのげる流れだが、通常国会は消費増税をはじめとする政治決戦の材料が山積している。これを切り抜けることは極めて困難だ。政権スタート早々はご祝儀で、「解散ない」論が隆盛を極めても、次第にメッキがはげてくる。自民党が真剣になれば追い込めるのだ。ではまず大局観なるものから説くとしよう。その最たるものは、有権者の多くが鳩山由紀夫、菅直人両政権の体たらくを見て、民主党への投票を「失敗」と感じたことだ。いったん冷めた感情はなかなか消えるものではない。
早く失敗を是正したい有権者心理が働いて、国会に反映する。次に戦後第一回の総選挙が昭和21年に行われて以来、平均2年7か月ごとに解散・総選挙に突入している。民主党政権だからと言って、これを免れることは困難だ。2年7か月目は消費税論議の渦中となる来年3月に来る。次に野田政権の抱える問題が大きすぎる。増税、しかも連続パンチだ。復興増税に加えて、消費増税も通常国会で俎上(そじょう)に載せざるをえない。消費増税を否定して308議席を取った以上、公約を変えるのなら総選挙で国民の信を問うのが憲政の常道だ。加えて、野田は時限爆弾や地雷の荒野を行くがごとしだ。時限爆弾は政治とカネの陸山会事件での小沢判決が来年4月には出る。秘書3人の有罪に次いで、小沢も有罪となれば、時限爆弾は破裂する。地雷はあまたある。まず、実現困難な普天間移設問題に“前向き”に取り組もうとしているが、不可能である事だ。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加も党内に根強い不満を残す。やめる選択をすれば貿易立国の放棄となり、国中から総スカンを食らう。やらざるを得ないのだ。
これらの不満が内閣に向けられた場合、屋台骨が折れずに済むかと言うことだ。専門知識の乏しい財務相・安住淳、防衛相・一川保夫、マルチ献金の山岡賢次などが野党の総攻撃の対象となって、持ちこたえられるかどうかだ。このように野田政権を取りまく政治情勢は厳しく、野田の周辺のように、のほほんと「2年後の任期満了・衆参ダブル選挙」などと言っていられるものではない。おまけに、荒唐無稽にも「最高裁判決の『一票の格差』を是正しない限り選挙が出来ない」などと言う。これは本末転倒で、司法判断が首相の解散権という最重要判断を左右した例は過去にない。訴訟が起きても、選挙後の話しだ。そもそも、任期満了選挙は三木武夫が田中角栄に解散を封じられて、できないまま仕方なしに任期切れで選挙を行ったものだ。政権は解散に打って出ないと敗れる、というジンクスを作った。この一例があるだけで、残りはすべて解散に打って出ている。衆参ダブル選挙は確かに投票率が高くなり、政権党に有利に働く。しかし過去の例としては、大平正芳のハプニング解散と、中曽根康弘の死んだふり解散があるだけだ。
この1度しかない任期満了選挙と2度しかないダブル選挙を合体させて実現できるかというと、至難の業と言うほかない。出来ない方向へのマイナス効果が生じてしまうのだ。そこで重要なのは、野党が腰を据えて解散・総選挙へと追い込むことが出来るかどうかだ。自民党総裁・谷垣禎一は大震災で菅を3月解散に追い込めず、不信任案の否決で6月解散も逸した。3度目の正直である通常国会での解散・総選挙を逃せば、谷垣の首は間違いなく飛ぶ。ところで、通常国会での解散の可能性は、激突型と話し合い型の両方があり得る。対決型は内閣不信任案、問責決議案などを上程して可決を目指すものだ。これにはマニフェストで欺いた消費増税路線が格好の材料になる。3月頃から今年と同様に特例公債法案を人質にとって揺さぶりをかけ、「小沢有罪判決」を機に不信任・問責決議を上程して、最終決戦に持ち込む。この戦略が一番可能性が高い。しかし話し合い解散の可能性も除外できない。自民党は消費税で対決と言っても、同税導入は公約である。公明党も、小政党が敗北必至のダブル選挙を望んでいない。そこで消費税成立を条件に話し合い解散が成立しうるのだ。増税は政権政党にとってマイナスだが、話し合い解散なら民・自・公の「三方一両損」となり、民主党は1人負けを回避できる。与野党合意形成型首相の野田にとっては、垂涎の解散パターンかも知れない。こうみてくると、やはり来年の通常国会は解散風どころか、暴風が吹きすさぶと見るべきであろう。
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