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2006-07-03 00:00
韓国、中国の文化政策の目的に疑義あり
大山晴雄
高校教師
6月20日付け「CEACコラム」に掲載された青木保氏の「文化が競い合う東アジア」は、さる5月韓国で国家の文化政策の基本に関する「文化憲章」が公式発表されたことを「東アジアの文化状況に大きな影響を与える注目すべき動き」であり、「日本を除く東アジアで初の『文化の自由』宣言である」として高く評価するとともに、さらにこれで「対等な文化関係を土台とする『東アジア文化圏』の成立も現実的になってきた」とまで述べておられます。私は、次のような理由からそのような楽観的見方に同意できません。
第1に、青木氏が最も注目されている韓国の「文化憲章」なるものが、果たしてどれだけ実質を伴なった「韓国憲政史上初」の文化政策の革新的文書であるか、はなはだ疑問であると感じているからです。韓国の日本大衆文化受け入れの開放政策がこれまで4次にわたって実施されてきたことはそれなりに評価されますが、依然「日本による文化占領ないし侵略は許すまじ」といった意識から決別していないように思われます。さらに日本映画に限らず、米国等外国映画の上映は依然として、年間一定回数の韓国映画の同時上映を義務づける「スクリーン・クオータ制」の下で、厳しく制限されており、米国とのFTA交渉でその完全撤廃を要求されていると理解しています。そのような状況で「東アジア初の『文化の自由』宣言である」などといえるのでしょうか。
第2に、青木氏が同じく注目している世界中に展開し、活動中の中国の対外文化機関「孔子学院」も、端的に言って中国語の対世界普及を狙った文化工作機関であり、東アジア文化についての対外的啓発といった高邁な目的をもったものではないように見受けられます。中国は、全世界に散らばる華僑がいつでも中国にもどり「祖国の偉大さ」とその文化に触れた後、それぞれの国に帰国し、活躍できるよう、北京市内等に一級の宿泊居住施設を整備している由ですが、それにとどまらず、国家の文化戦略として中国語の世界への広汎な普及に積極的に努力しているのです。
第3に、私も昨年10月ユネスコ本部で採択された「文化表現の多様性の擁護と推進」条約は非常に重要な条約であると考えていますが、まだ署名が行われて日が浅く、これまでの批准国は、カナダ、モーリシャスの2ヶ国のみと発効に必要な30ヶ国には程遠いのが事実です。しかし、25ヶ国を擁する欧州連合(EU)が既に加盟国による批准の方針を理事会で決定していますので、各国それぞれの国内手続きが終わり次第、比較的短期間に発効の日を迎えることは間違いないと思われます。従って同条約の発効のイニシャティブもとっているのは、カナダやEU諸国であり、残念ながら韓国、中国あるいは日本といった東アジア諸国ではなさそうです。
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