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2011-10-21 00:00
(連載)欧州統合を巡るジェンダーの問題(1)
山下 英次
大阪市立大学名誉教授
ヨーロッパでは、いまや「連続複合危機」と呼ぶべき事態がすでに4年以上続いている。2007年7月に表面化した米国サブ・プライム住宅ローン危機を契機に、翌月、BNPパリバ・ショックが起こるなど、深刻な銀行危機が発生し、いくつかの銀行が破綻した。2008年には、中東欧諸国の国際収支の悪化を背景とした通貨危機が発生し、ハンガリー、ラトヴィア、ルーマニアがIMFのスタンド・バイ(SBA)支援を受けるに至るとともに、ポーランドがIMFから予防的な措置として新設したフレキシブル・クレジット・ライン(FCL)を受けた。
さらに、2010年初めからギリシャのソブリン債務危機が始まり、それがアイルランド、ポルトガルへ波及し、これら3カ国はEUとIMFから支援を受ける事態に至ったことは記憶に新しい。さらに、現在、スペインやイタリアまでもが懸念される事態となっている。以上のように、銀行危機、通貨危機、ソブリン債務危機と、3つの危機が連続して起こってきたが、ここへきて、さらにギリシャなど南欧諸国向けエスクポージャーの大きい独仏などの銀行危機につながりかねない事態にまで来ている。
すなわち、また、銀行危機に戻りかねないような様相を呈しているわけである。他方、巷間、「ユーロ危機」といわれることがあるが、実際には、ユーロの価値が、歴史的にみて特に低い水準になっているというわけでは決してない。ただし、現在のユーロ・システムの信頼性が問われていることは事実であるが、紙幅の都合上、その内容について立ち入ることは、ここでは差し控える。
ただ、筆者としては、今回の一連の危機については、ドイツの対応が不十分との印象が否めない。結局のところ、欧州の大きな経済問題を解決するには、ひとえにドイツがどこまで踏み込むかにかかっている。メルケル首相とサルコジ大統領は、諸々の対応を巡って、これまでおびただしい数の首脳会談を重ねてきた。しかし、その都度、会談後に出される両者のメッセージは、市場の期待を下回るものであった。したがって、その都度、市場の懸念は強まり、しばらくすると、またさらなる対応が必要となる。独仏首脳は、次の会談では、前回よりさらに大きな対応を決めるが、しかし市場が求めるものは以前よりさらに一段と大きくなっており、期待に応えられない。これまで、それの繰り返しであった。このようにして、危機が膨れ上がってきてしまった。(つづく)
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