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2011-10-20 00:00
政府は温室効果ガス25%削減の欺瞞から抜け出せ
杉浦 正章
政治
破たんしているのに固執するのでは、戦前の小学校教科書と同じだ。環境相・細野豪は「シンデモ、ラッパヲ、クチカラ、ハナシマセンデシタ」なのだろうか。普天間移設と並んで鳩山由紀夫の2大愚策である温室効果ガス25%削減の中期目標を「まだ維持し続ける」というのだ。大震災で脱原発・減原発へと走っている政権が、温室ガスではきれい事にすがる。やはりパフォーマンスの「民主党病」は、依然として病膏肓(こうこう)に入っているとしか言えまい。国際社会は、とっくに日本が達成不可能になったと理解しており、来月から南アフリカで開かれるCOP17では、25%削減の主張による存在感発揮などとてもおぼつかない、のが分かっていない。
日本経団連会長・米倉弘昌会長は10月19日の細野との会談で「中期目標については、政府のエネルギー政策の見直しと合わせて再検討をお願いしたい」と述べ、COP17を前に中期目標の見直しを求めた。ただでさえ大震災で電力事情が厳しくなった中で、25%削減の重荷が企業にかかっては、産業の空洞化に拍車がかかることは目に見えており、要望はもっともだ。しかし、細野は「現時点で再検討することは難しい」と述べ、今後も維持する考えを示した。問題は、細野が出来もしないことを何故主張し続けるかだが、一つは国会で地球温暖化防止法案が継続審議中であること。もう一つは、鳩山が掲げた25%削減が、御用学者らの理論武装もあって独り歩きし、国際社会で引くに引けない状態になっていると思い込んでいることだ。しかし温暖化防止法案も、米紙『ウオールストリート・ジャーナル』から「サムライの腹切り」とやゆされているほどであり、民主党内からも「法案から25%削減を削除すべき」との有力意見が台頭している。国際社会も、開発途上国ですら、大震災後の日本の電力事情を十分承知しており、むしろ同情論が出ているほどだ。
そもそも環境庁の試算そのものが、達成不可能を明示しているのだ。福島第一原発6基を廃炉にした分だけでも、火力で補うと、目標を約8ポイント下回るという。加えて原発新増設は認めず、休止中の原発再稼働は遅々として進まないし、古い原子炉は廃炉にするわけだから、物事は目標の達成とは逆方向に進んでいる、としか言いようがない。自然エネルギーなど2020年の期限に間に合うわけがない。細野は「中期目標は、すべての主要国が温室効果ガス削減に意欲的に取り組むことを前提としており、この条件は主張していきたい」と中国・米国の参加がない限り中期目標は作動させないような発言をしている。それでは最初から「出来っこないからよいのだ」という“欺瞞”が存在することになるではないか。また、鳩山のパフォーマンス政治が25%だけを際立たせてしまったことを忘れている。
誰もが達成不可能になったことを知っているにもかかわらず固執し続けるのは、国の外交にとってあってはならないメンツ優先であって、そこには国益はない。専門家が「私たちは震災があっても温暖化防止のために最大限頑張るのだと言い続けるべきだ」などと述べているが、どこまで学者というのは現実から遊離しているのだろうか。25%を企業に押しつけるばかりか、実現には家庭の電力消費を約10年で半減しなければならなくなるという予測もある。日本の家庭だけは戦争直後のように裸電球一個で暮らすのか。要するに、愚昧な首相が言ったことに、いつまでも固執し、踊らされ続けるべきではない。出来もしない空想性虚言を吐き続けるのは、国家として恥の上塗りになる。25%など早々に取り下げて、実現可能な数値でCOP17に臨むべきではないか。それが国としての誠意というものだ。それにつけても鳩山の遺した負の遺産はあまりにも大きい。
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