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2011-09-27 00:00
これでよいのか?素人議論に終始する民主党税調
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
民主党の税調なるものの抄録と思しきテレビ画像を観る機会があった。アマチュアぞろいの与党の中では、数少ないプロの香りを漂わせる藤井裕久会長の「この場は議論をする場というより、モノを決める場である」という枕言葉から始まった。「国債の日銀引き受けは暴挙だ」と断じる同氏は、その出自からして、泥鰌首相どころではない、財務省の申し子の様な政治家だ。だから財政健全化、増税路線の推進者であることは誰しも認めるところで、それに対して異論・反論を唱える人が少なくないのは理解出来る。
だが、増税路線に反対するのなら「少なくとも10兆円程度の財源をどこから捻出するか」という反対提案がなければ、政策議論にはならない。テレビはサワリだけの抄録だったから余り断定的なことは言えないが、不況下の増税反対、赤字国債発行やむなし以外に、これといった提言は聞き取れなかった。姿勢論として、藤井会長が「議員定数削減も同じ土俵で議論されるべきだ」と述べたと伝えられるが、もとより財源論として同列に論じる話ではない。参議院242名を全廃してみたところで、浮いてくる財源はせいぜい数百億円だろう。それに較べれば、特別会計にたかる寄生虫征伐の方が何ほどか効果が大きいのは、人も知るところだが、そんな議論さえ具体的に卓上に乗せられたという話を聞かない。わづかに「外為の予備を取り崩せ」とか、「国債整理基金を逆さに振れ」といった児戯に等しい議論が散発的に提示されているに留まっているごとくである。
税外収入5兆円に藤井さんが自信を示したと伝えられるのが、唯一のプロらしい議論のようだが、それとてどれほどの党内議論の積み重ねを経たものか、国民には知る由もない。自民党時代のインナーによる密室議論も決して望ましいものではないが、財務省のシナリオで素人が寄り集まってガス抜きをしている状態も、これが民主主義だと言われては迷惑至極。「お金が天から降ってくる筈もない」などというお話が選良の間でまじめに飛び交うようでは、世も末だ。姿勢論を含め、税外収入についての徹底した議論を情報公開した上で、「次世代に負担を申し送らない」というのが何を意味するか、はっきりさせることが肝要だろう。
それにしても藤井さんは79歳だ。JICA の緒方総裁も84歳にして再任が決定されたようだが、わが国ではそんなに若い世代が育っていないのだろうか。財界が大御所に楽隠居の場所を提供して、巧みに世代交替を図っているのに比して、いかにも知恵がないように見受けられる。「総理を辞めたら、議員も辞める」といった舌の根も乾かぬうちに、生臭い発言を繰り返す政治家が健在なようでは、それも致し方ないのかな。
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