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2011-09-04 00:00
新首相誕生について思う
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
小沢一郎氏は「神輿は軽くてパアがいい」との名言で知られる。百数十名を数えるグループ議員の中から、まさにぴったりの人を見つけ出して、総裁候補に据えたところまでは素敵だったが、流石に民主党の大勢は不同意だったようだ。この小沢氏の候補選びの基準が、先の鳩山政権誕生の時にも適用されたのかどうか、残念ながらはっきりしない。紆余曲折はあったものの、めでたく泥鰌総理の誕生である。もっともこの泥鰌総理もなかなかの警句の名手で、かつて小沢氏の民主党合流を評して「モーニング娘に天童よしみが入った様なものだ」とのたもうたとか。天童さんには申し訳ないが、言い得て妙。
で、「ノーサイドだ」「党内融和だ」と、朧化的表現を様々に用いるものの、要は、それこそ徒党百数十名を擁する小沢一派(ピントのずれた鳩も含めるかどうかはともかく)の造反・離反をどう阻止するか、というのがことの要点であることは、3歳の童子といえどもよく知るところだ。ま、「このグループに抜けられたのでは、衆議院過半数もあったものではない」という意味では、気を使うのも無理からぬところなきにしもあらず。とはいえ、これも一寸狐と狸の様なところがあって、百数十名の大多数は、先の衆議院民主党の地滑り的勝利の一回生。この方々も「民主党」の看板あっての当選であって、さすがに「小鳩党」とでも名乗って立候補しても、当選おぼつかないのは、先刻ご承知の筈である。
それでもついこの間までならば、小沢氏が郎党を率いてあちこちのグループと離合集散というのもありだったが、さすがに無罪判決でも出るまでは、それも封じ手だろう。のみならず、情報公開とほど遠い闇将軍的手法への嫌悪感が一頃とは比べ物にならないくらい強くなっているのは、流石にご当人もご存知なのだろうとは思う。で、モーニング娘と天童よしみ氏は蜜月ならぬ呉越同舟みたいなことにならざるを得ない。ところが、それゆけどんどんの勝ち戦の時ならば、亀裂も目立たないのだろうが、守勢に入っては、いかな泥鰌宰相といえども、上辺だけを取り繕った党内融和ではことは済むまい。とはいいながら、代替勢力が台頭しない限り、権力が安泰なのもまた事実。この2年間に一体何が起こるか。野党たるもの、バカの一つ覚えで「解散総選挙に追い込む」と能書きを繰り返していればよい、というものでもなさそうなのだが。
現実に立ち返って言えば、いくら何でも今度の総選挙までには、定数是正を行わざるを得ないだろう。その協議の過程を通じて、ねじれ状態での対話に新しいプロセスが産まれてくるのではないかと期待して良いのではないか。鬼が出るか、蛇が出るか、保証の限りではないけれど。
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