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2011-08-09 00:00
インラックは、タクシンの帰国を認めるべきでない
岡崎研究所
シンクタンク
『ファイナンシャル・タイムズ』紙(7月5日付)で、米外交問題評議会の Joshua Kurlantzick が「インラックがタクシンを恩赦して帰国させると、保守派との対立が再燃し、軍が介入する口実を与えてしまうので、タクシンは帰国させるべきでない」と論じています。すなわち「総選挙で勝利し、政権の座についたインラックは、連立と和解を呼びかけており、これはタイの民主主義を救うチャンスであるかもしれない。しかし、他方、タクシンの恩赦は選挙公約であり、タクシンがもし帰国すれば、反対のデモと騒擾を誘発し、軍に介入の正当性を与えることになるだろう。各勢力は妥協を受け容れるべきだ。下層階級は、個人財産と法の尊重を受け容れ、タクシンの帰国を諦めるべきであり、都市中流階級は投票者の多数の意思を尊重すべきだ。そして最も困難なことかもしれないが、タクシンは引退すべきだ」と言っています。
タイの政情が今後どうなるか、今のところはっきりした見通しは立ちません。ただ、この論説がいみじくも指摘しているように、当面の最大の問題は、インラック政権が軍に介入の口実あるいは大義名分を与えるような措置をとるかどうか、にかかっていると言えるでしょう。インラック政権の側からすれば、過去に、民主的な選挙の結果を、軍の介入や司法の介入によってねじ曲げられてきたことへの宿怨はありますが、敢えてそれを我慢して、保守派を刺激しない政策をとれるかどうかがカギだ、ということです。
幸い、タイ経済は好調なので、革新的な政策を実行しなくても、国民が失望することはない、と思われます。できれば、この際、和を重んずるタイ文明の特質が再び発揮されることが望まれます。しかし、タクシンが階級意識を掘り起こしてしまった後のタイは、もう昔のタイとは違っているかもしれず、どうなるかはわかりません。
ただ、今後もし事態が混乱しても、外国との関係、特に日本企業の活動にとっては、従来通り何の支障も生じないだろうと考えることは、まだまだ許されるでしょう。逆に、もし万が一、日本企業の活動に支障が生じるような事態となるのなら、タイはもうわれわれの知っているタイでなくなった、ということでしょう。
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