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2011-08-07 00:00
半端な円売り・ドル買い介入では負ける日本
田村 秀男
ジャーナリスト
日銀の追加金融緩和と、財務省による円売り・ドル買い介入にもかかわらず、8月5日の円相場は逆戻りした。加えて、日本の介入は、米国株から米国債へのシフトを後押しする。金融緩和のために、日本が及び腰で紙幣を発行しても、失敗する。その無駄なカネの弾が、脆弱(ぜいじゃく)な世界の市場を撃つのだ。政府による円売り・ドル買い介入には、自虐的なからくりがある。財務省が金融機関から円資金を借り入れて介入に充て、最終的に米国債を購入する。今回の介入規模は総額10兆円程度とみられるが、その分、金融機関から貯蓄が吸い上げられ、金融がきつくなり、デフレを助長する。
さすがにまずいと思ったのか、日銀は資産購入と貸し出しで、合計10兆円の資金を金融機関に流し込む。だが、お札を刷っても、米国債に化けた分を補うだけで、現状維持がやっと。しかも、日銀は最初から、10兆円の財布の中身をばらして百戦錬磨の投機筋と対峙(たいじ)するのだから、勝負はついているようなものだ。
世界の投資家は、米連邦債務の引き上げ合意後の景気先行き不安の中で、株式を売り、安全性の高い資産である国債などを買う傾向がある。日本政府が率先して米国債を大量に追加購入し、追随を誘うが、長続きはしない。ドル安の中で米国債はいつか突然、逆に売られ、米国はドル、国債、株式のトリプル安に陥る。これが正真正銘の世界金融危機を引き起こす。
政府・日銀は効果のない介入よりも、規模を問わない思い切った金融の量的緩和への転換に踏み切り、市場でのドル資産買いを促して、円高とデフレを止めるべきだ。王道とも言うべき国内向け政策こそが、米国や世界の金融市場安定に寄与できる唯一の道だ。
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