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2011-07-21 00:00
自民、「菅の手解散」に触手を伸ばす
杉浦 正章
政治評論家
自民党の対民主党戦略が「菅降ろし」から「菅の手解散」へと微妙にかじを切りつつあるように見える。副総裁・大島理森の「第3次補正予算で震災復興への明確な指針が出れば、その後はもう選挙をやってもいいタイミングだ」という発言がそれを象徴している。秋の臨時国会で解散に追い込む「10月解散・11月選挙」説もささやかれ始めた。今のところは、首相・菅直人の早期退陣へ向けての牽制球の色彩が濃厚だが、「辞めなければ、そのまま解散に突っ込んでもよい」という判断だろう。内閣支持率の低迷と「脱原発解散説」の破綻が背景にある。自民党は菅が退陣条件に挙げた3法案の内、2次補正は7月22日に成立、再生可能エネルギー法案は大幅修正の上成立やむなしの方向で、残る赤字国債発行のための特例公債法案の取り扱いがかぎとなっている。20日の与野党実務者協議で、子ども手当修正など民主党提案を自民・公明が拒否したのも、「菅の手解散」を意識した戦略が隠れているような気がする。実務者から政調会長レベルに上げても、政調会長・石破茂は「かなり考え方に隔たりがあると言わざるを得ない」と述べており、簡単には応じる姿勢にない。
自民党がこうした強硬姿勢に転じつつある背景には、菅がもくろんだ「脱原発解散」が、野党の「脱原発賛成路線」で荒唐無稽なものになってしまったことが挙げられる。対立軸が「原発」なら脱原発を先に言った方が勝ちに決まっているが、オール野党が「脱原発」では成り立たない。加えて、内閣支持率の低迷だ。時事の調査で12%は、もう通常の政権なら舵取り不能の水域に入っている。重要ポイントは、政党支持率が、新語で言えば2年前の解散直前と「真逆」に酷似していることだ。NHKの調査で、民主党が13.6%で2007年5月以来の低支持率、一方自民党が23.4%と倍近い。注目すべきは「支持している政党はない」の無党派層が46.2%で、調査開始以来最高となったことだ。2年前と自民、民主を置き換えれば同じ傾向となる。
これが何を物語るのかというと、自民党にとって「今をおいてはない絶好の選挙情勢」を意味する。最大規模の無党派層が民主党に流れることはないからだ。無党派層は渋々ながら自民党に流れ、公明党を有利に導き、みんなの党を勝利させる流れを作るだろう。今選挙が実現すれば、自民党の単独過半数は視野に入る。少なくとも自公連立政権は復活する。だから、大島が舌なめずりするかのように、3次補正後の解散に言及したのだ。しかし、この戦略は菅が退陣すると成り立たない。ろくな首相候補がいないから、次期政権も低迷必至だが、当面は持ちこたえる。新政権は、誰が首相になろうと、解散を避けるし、支持率も一時的には上がるだろう。いくら野党が追い込むことが出来ても、せいぜい来年の通常国会冒頭解散がいいところで、おそらく通常国会での予算成立以降の解散となる可能性が大きい。
絶好のチャンスであっても、問題は、自民党が早期の「菅の手解散」に追い込めるかどうかだ。幹事長・石原伸晃も最近ではあおり始めた。「首相は辞めないんじゃないか。8月になると、菅さんがものを言いそうな日がポンポンポンと来る」と、広島、長崎の「原爆の日」などの「脱原発延命発言」を期待するかのようだ。石原が、幹事長・岡田克也の話として暴露した「8月7日に代表選をやる」という方針も、“早期退陣ぶちこわし”を狙ったものと解釈することが可能だ。しかし、こうした自民党の思惑は、当然民主党首脳も読んでいる。だから岡田も、石原らに「菅さんは、退陣の条件としている赤字国債発行法案などが成立すれば、必ず退陣する」と言明して、何としてでも退陣に追い込む構えだ。いずれにしても、8月中の退陣に持ち込むには、今月末からお盆前に駆けて“荒療治”が不可欠だろう。解散に追い込む選択肢を手にした自民党と、菅退陣で早期解散を回避したい民主党との駆け引きが、今後の政局を見る上で一番面白い。
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