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2011-07-15 00:00
国際金融社会は日本の増税を歓迎する、なぜか?
田村 秀男
ジャーナリスト
IMF(国際通貨基金)のラガルド新専務理事はさっそく副専務理事の定員(3人)をひとり増やし、中国代表を選んだ。日本財務省は以前から副専務理事を送り込んでいるが、もちろんアジアの代表でもあった。中国代表の追加で、中国は国際金融社会でいよいよ存在感を増すことになる。気になるのは、日本は今回の専務理事選任劇でも何ら発言力、影響力を発揮しないまま、中国の影響力増大になすすべもなかったことだ。
IMFという国際金融マフィアの社会は、実は米英とユーロ欧州の利害調整機関であり、カネも出せば、口ももっと出す。米欧の利益になるように巧妙に世界をリードするのは、グローバル金融の世界では当たり前のことだ。だまって従うだけの存在は、アングロ・サクソンとユーロ世界にとって貴重だが、感謝するまでもない。自宅のパーティーに日本代表を招いて、ちやほやすればよいだけだ。
それをよいことにしているのか、日本国財務省はIMFの対日増税勧告などを引き出し、悦に入っている。実は、日本の増税は、ギリシャ問題に悩む米欧にとって大歓迎すべき政策である。日本人は対外資産を取り崩さず、相変わらず米欧、さらに新興国に、投融資する。大震災の国内復興も、社会保障財源も、増税で済ませば、国際金融市場にマイナスの影響はない。増税しても、勤勉な日本人だから相変わらず貯蓄に励む。その貯蓄は、金融機関を通じて海外に流れる。だからロンドン、ニューヨークも、市場は安定する。
残るのは、日本のデフレ深刻化だけだが、世界にとっては何でもない。日本の政府債務の95%は国内貯蓄で賄われるのだか、日本国債暴落なぞありえないから、投機ファンドは日本国債を買い、円高に持って行き、利ざやを大きく上乗せする。円高で日本の対外資産は大きく目減りする。日本はますます貧しくなる道理だ。
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