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2011-07-11 00:00
問われる豪州の防衛体制:自主防衛か、補完防衛か
岡崎研究所
シンクタンク
米ブルッキングス研究所のウェブサイト6月1日付で、同研究所のJohn E. Angevine が「現在の豪州の防衛計画は、新型の航空機、艦船中心であり、この地域において豪州が期待されるシナリオにそぐわない、米国はグアム・ドクトリンを捨てて、米豪軍事計画の役割分担の調整を図るべきだ」と論じています。すなわち「現在の豪州の防衛白書 \"Force 2030\"は現実にそぐわない。これは、可能性の少ない本格的近代戦闘という事態に備えるものであって、豪州の周辺で起こりそうな現実に備えていない。米国は『防衛の第一義的責任はその地域の国にある』とする、グアム・ドクトリンを撤廃して、米国の力を補完する豪州の防衛体制を支持するべきだ。具体的には、米豪は、共同の潜水艦基地を維持運用するとともに、米豪軍事産業協力関係を強化し、また中国をも含む多数国間の安保協力関係を築くべきだ」と論じています。
John E. Angevine は、豪州の Lowy Institute の学者のようです。その豪州は、近年とみに安全保障への関心が高く、自主的な防衛計画を作成していますが、この論説は「そんなことをしても、どうせ米国の圧倒的な軍事力とは比べ物にならない。それよりも、豪州付近で起こる可能性が高い事態に備える軍備を整えることが先決だ。より大きな事態に際しては、米国と緊密に連絡して対処すべきだ」と言っているわけです。
しかし、豪州政府の現在の政策は正攻法であり、この論説が言っていることは、ある意味では現実主義的かもしれませんが、大局的には米豪関係に資さないように思われます。
それは、一つには、オバマ政権の下で米国の軍事費は削減傾向にあり、主要艦船、戦闘機などの正面装備についても、米国の軍事専門家はその不足をかこっており、従って、米国は、豪州などの同盟国の軍備増強を歓迎する状況にあるからです。さらに、より根本的には、グアム・ドクトリンの裏の真理として、米国には「自らを援けない国は援けたくない」という心理があるからです。豪州が正面装備を含めて軍備増強をしていることは、同盟国としての豪州の信頼性を高め、米国のコミットメントを強化する心理的効果があります。勿論このことは日本にも同様に当てはまることは、言うまでもないでしょう。
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