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2011-07-01 00:00
異端児・河野太郎氏の言動が唯一の救い
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
中国海軍は、昨年までは公海での艦隊行動に留まっていたのが、今年は堂々と日本の排他的経済水域(EEZ)や領海を通行してのデモンストレーションだ。どこまで刺激すれば、どんな反応が返ってくるかを試す、あの国の伝統的な行動方式だ。ほうっておいたら、関門海峡に中国潜水艦が出没しかねない。わが国の対応はといえば、中国の軍拡、冒険政策に対する態度表明は、もっぱら「米国にお任せ」のようだ。それはともかくとして、肝心の米国との安全保障関係についても、沖縄を巡って前の総理大臣がやってくれた壊滅的な信頼破壊行為の後始末が、未だに出来ていない。
TPPも国内政局に隠れてさっぱり動きが見られない。東北地域の一次産業再生と結びつけて、新しい産業の構図を描くほどの知恵者は現れず、かくして農水省と結びついた農協利権は温存され、位置エネルギーは健在だ。「滅びへの途は易しい」という、先人の知恵を改めて評価したくなる。こと外交問題、安全保障問題については、誰がどのようなおカネをどんな機関(米国国務省、CIA等など)から受け取っているかを示す時限爆弾が、例のウィキリークスに埋め込まれている(と信じられている)から、政治家は言うに及ばず、学者・評論家も軒並み口をつぐまざるを得ない。あの膨大な資料を解析・解読する学者が現われないものだろうか。
よって当たり障りのない「だから、言わないことではない」式のヒョーロンが幅を利かす。あたかも国土交通省が事故を起こした鉄道各社に「怪しからん、しっかりしなさい」と訓示を垂れ、社長が厳かな顔をして始末書を監督官庁に提出する、という例の儀式の再現の様な話だ。さらにさらに、懲りない人々は浜の真砂であることに、古今違いはない。これほどの原発被害の後始末さえ目鼻がついていないというのに、「安全だから、運転再開をしたい」とのたまう官僚がいるかと思えば、そのお先棒を担いだお粗末きわまりない大臣が現地に乗り込んで「説得」をなさるのだという。一頃は鳴りを潜めたかに見える官僚天国が、何のことはない大手を振って復活だ。
異端児、奇人、変人と目された河野太郎氏の言動がにわかに正論のように聞こえるのは、こんな時代のなせる業だろう。考えてみれば、それが唯一の救いかもしれない。人事を巡るドタバタ騒ぎの中で、まともなことをおっしゃる復興担当大臣が出現したりするのだから、政局も棄てたものではない。それにしても、自民党参議院議員の一本釣りに、「ヒトの懐に手を突っ込むのは無礼だ」みたいに、とんがらかるのではなく、「わが党の人材がいかに豊富かの証明ですな」位のオトナの対応が、どうして自民党には出来ないのだろうか。「党派の枠を超えて難局に対峙する」というのなら、もともと離党したり、除名したりの騒ぎになるべきでもないだろうに。
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