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2011-06-13 00:00
異常な日本の増税シンドローム
田村 秀男
ジャーナリスト
この国は、増税症候群におかされ、しかも重症である。与謝野馨経済財政担当相の「社会保障・税一体改革案」も、菅直人首相肝いりの「復興構想会議」も、そして「政府税調」も、みな消費税増税で競っている。増税案一番乗りの与謝野氏は、大震災の前から消費税増税案を練ってきたとして、後発組の復興構想会議の増税案と混同されて、もみくちゃにされるのを恐れ、閣議決定を急ぐ。政府税調委員たちは、そこで自分の出番とばかり、唾をつける。まさに阿鼻叫喚、知的貧困者たちの仁義なき障害物競走である。
慢性デフレがこじれ、体力が弱りきっているところに、大震災・原発メルトダウンという大きな傷害を受けて、出血が止まらないというのに、政治家、官僚とその代弁者たちは最優先すべき復興プランを後回しにして、「増税案を先に言い出すほうが勝ち」とばかりに、先陣争いだ。
今必要なのは、栄養剤であり、輸血であり、将来展望を切り開くプランである。なのに、やせ細り重傷を負った国民から血税を絞り取ることしか考えない政治家と官僚、御用学者、御用メディア。「みんなで渡る橋はあぶなくない」という心理なのだろうか。
何とも異様な光景で、かの財務官僚が演出しているとも言えるが、ここまでシナリオ通り行くとは、それでもだれもが狂うように他に先駆けして増税しようとは、財務官僚だって当惑していることだろう。なぜなら、過ぎたるは及ばざるがごとし。あまりにも一方的な増税の連呼に、世論もあきれ、「総選挙あり」と浮き足立つ政治家たちは、一転して増税反対に逆ぶれしかねない情勢だからだ。
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