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2011-06-05 00:00
(連載)EASをアジア版OSCEとして活性化させよ(1)
山下 英次
大阪市立大学名誉教授
東アジア・サミット(EAS)に、今年1月から米国とロシアが加わり、構成国の数は、従来の16カ国から18カ国となったが、これが何を意味するのかを考えてみたい。
第1に、ロシアの加盟が決まったことは、東アジア地域統合の枠組みという意味においては、おそらくEASのより一層の形骸化を意味することになるであろう。これまでも、東アジア共同体作りについては、ASEAN+3(APT)の13カ国のグループが主たる枠組みであり、EASの16カ国のグループは、それを補完するものとの位置づけが、公式文書で確認されていた。ロシアとともにアジア地域統合を推進すべきだという考え方は、アジア諸国の中では明らかにかなりの少数派であり、同国の参加を許すことは、ASEANとして、地域統合としてのEASを形骸化するとの政治的メッセージといえるのではないだろうか。すなわち、「地域統合に関する重要なプロジェクトは、コアであるアセアン・プラス・3(APT)で行う。他方、はっきり言えば、EASはそのフリンジに過ぎず、地域統合に関する重要なプロジェクトは、基本的には扱わない」ということではないか。そもそも、18カ国になれば、アジア太平洋経済協力会議(APEC)とそれほど違わないグループ構成となってしまう。
第2に、米露の同時参加を許したということは、米国に対しても「地域統合のコアであるアセアン・プラス3(APT)には入れませんよ」というメッセージを送ったつもりなのであろう。かくして、2005年12月の設立の際、日本政府が横車を押したために、APTと並行的に成立することになってしまったEASは、地域統合については、今後ほとんど何も扱わないことになるであろう。筆者は、EAS発足の際「オセアニアにも参加国を拡大させるべき」とした日本政府の提案を、「地域の結束力を弱体化させる提案だ」という理由で、これまで一貫して批判してきた。日本政府は、全体としては、これまでEASに肩入れしてきたが、これを機に従来の政策的な失敗を認めた上で、今後はその姿勢を大きく変え、アジア統合推進の場としては、APTを中心に位置づけした上で、本格的に取り組んでいくべきである。EASでは、FTAやEPAなどは扱われるかもしれないが、そもそも、それらは地域統合の本筋では全くなく、ただ単に、自由貿易の推進を目指すものであり、その一層の推進はグローバルなものにつながる。それに対し、地域統合というのは、もっと遥かに地域戦略的なものである。(つづく)
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