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2011-05-21 00:00
(連載)大災害が問う国の生き方(1)
山下 英次
大阪市立大学名誉教授
未曾有の大惨事をもたらした今回の東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)は、どうやら1142年ぶりの日本史上最大規模の地震になってしまったようである。1923年の関東大震災では、実に14万人以上が亡くなったが、地震の規模はM 7.9であった。今回の大地震以前のわが国史上最大規模の地震は、平安前期の869年(貞観11年)7月13日に今回とほぼ同じ地域で発生した貞観三陸沖地震・津波で、M 8.3~8.6の規模であったと推定されている。
貞観三陸沖地震・津波は、朝廷が清和天皇、陽成天皇、光孝天皇の3代の治世30年間について編纂した歴史書『日本三代実録』(901年)に記述がある。それによると、「陸奥で地大いに震動りて、・・・(中略)・・・原野も道路もすべて海となり、船に乗るに暇あらず、山に登るも及び難くして、溺れ死ぬる者千ばかり、資産も苗もほとんど残るもの無かりき」と、今回の惨事さながらに非常に生々しく表現されている(『読み下し 日本三代実録〈上巻〉清和天皇』、戒光祥出版、2009年)。なお、この貞観11年には、三陸だけでなく、京都、熊本など各地で大きな地震があったとの記録がある。
そして、三陸地震の歴史的記録を検証する津波堆積物調査が、文部科学省の地震調査研究推進本部によって5年間にわたって行われ、2009年に総括成果報告書が出ている。それによると、この地域では、過去およそ4000年の間に貞観三陸沖津波を含めて計7回の大津波の痕跡があり、450年から800年間隔で大津波が襲来しているとしている。また、貞観三陸沖津波では、仙台・石巻平野においては、当時の海岸線から内陸へ、少なくとも2~4キロメートルの地点まで津波が遡上した痕跡があるとのことである。すなわち、歴史的記録が、科学的調査によって裏付けられたわけであり、たとえ、数百年とか千年に一度の出来事であるにせよ、本来、それを踏まえた対策が取られるべきであったのであろう。(つづく)
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