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2011-05-17 00:00
(連載)原発事故の検証を急ぎたい(2)
高畑 昭男
ジャーナリスト
2カ月内にこれだけのことをやった。民間の事故とはいえ、「国家の緊急事態」を認識して対応を一元化し、責任ある行動と結果を次々と示すのが国家指導者の道だ。東電にどなり込み、海外紙に署名入りの感謝広告をばらまくパフォーマンス政治では、国民の信を得られない。
原発をより安全にして信頼を回復するには、原子力安全・保安院などの監督機関の解体的再編に着手すべきだろう。「レベル7」に至った原因究明も不可欠だ。長期的には、首都圏2000万世帯の電力供給が一巨大企業の手に委ねられている現状を見直すことも必要ではないだろうか。大恐慌時代、ニューディールで知られるルーズベルト大統領がテネシー川流域開発公社(TVA)を設立した動機は、ニューヨーク州知事時代に電力企業の独占と横暴に心を痛めた経験が原点にあったからだという。
政治との癒着や独占の弊害を防ぐために、国家の責任で発電を行い、地域の電力会社に安価な電力を供給する。TVAは総合地域開発や失業救済にも力を発揮した。「官業は非効率」とされがちだが、今も連邦政府保有の非営利事業として存続し、年収100億㌦の優良企業体である。日本の国家安全保障の観点からも、首都を預かる電力の独占を見直し、発電・供給の分離や多角化の工夫があっていい。テロや事故などの緊急対応について、国家が一元的に責任を負う体制を強化すべきだ。地元を説得して原発一帯を国家管理とし、発電から廃棄物処理まで政府が全責任を持つくらいの体制が必要だ。その本社も福島に移したらいい。住民の立場で経営陣が汗をかき、安全を徹底する態勢を望みたい。
その第一歩は、事故調査機関を速やかに設置して、なぜこんなことになったのかを公正な立場で究明することにある。東電や政府がとってきた対応について、国を挙げて一から再検証することが必要だ。その中で、首相の責任もみえてくる。(おわり)
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