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2011-05-14 00:00
米国は「菅政権を相手にせず」か?
柳田 孝二
シンクタンク研究員
5月13日付けの石垣泰司氏の本欄への投稿「大きく進む世界を見据えた米中の『戦略対話』」にまったく同感である。この投稿一つだけをとってみても、この「政策掲示板」を読むほうが、日本のどの新聞を読むよりも役に立つことが証明されていると思った。日本のどの新聞も報じていないなかで、「わが国官民が大震災・原発事故への対応・復興に関心を集中し、内向きとならざるを得ないなか、東アジア地域についての米中戦略対話は着実に進展している。われわれは、このような世界の新たな動きを見逃してはならない」と指摘しており、誠に傾聴に値する。
石垣氏は、さらに「米中対話後に発表されたところによれば、米中両国は、2国間の『戦略的信頼』関係を今後とも大切にし、今秋の東アジア・サミットやハワイでのAPEC首脳会議等の機会を利用し、首脳会談を行う一方、バイデン副大統領の訪中、習近平副主席の訪米を実施するほか、新たに『アジア太平洋地域問題に関する協議』メカニズムを創設し、一層緊密な対話に努めることに合意したという。米中両国が意思疎通を良くすること自体は結構なことであるが、このような情勢のなか、日本としても同盟国米国との協議を更に強化し、地域情勢についても知見を深めてゆかないと、東アジアにおいて期待される役割を十分に果たせないことともなるであろう」と述べている。
そのようなときに、今朝14日付けの読売新聞は「首相、来月訪米を断念」との見出しで、「日本政府は13日、米政府と調整していた菅首相の6月下旬の訪米を断念した。7月以降も当分、訪米時期のメドは立っていない。---日米両政府は12日、ワシントンで外務・防衛当局の審議官級協議を行ったが、閣僚級の『日米安全保障協議委員会(2プラス2)』の日程は決定できなかった。2プラス2は首相訪米の前提となるもので、今年前半の首相訪米の断念は確定的となった」と報じている。
米側が「菅首相と話し合ってもしようがない」と思っていることは明白だ。第一に、政権が不安定で、いつまでつづくか分からないだけでなく、第二に、鳩山首相において顕著であったが、菅首相においても、言うことに信用がおけない(いつ前言を翻すか分からない)、そしてなによりも第三に、何を考えているかが分からない(今日「日米同盟は重要」と言っても、明日「日米中は正三角形」などと言いかねない)との判断があるからだろう。そんな日本と相談するよりも、中国と手ごたえのある「対話」を進めてゆこう、と米国が考えるのは当然のことである。世界的規模の問題だけでなく、アジア太平洋地域の秩序形成についても、米国はもはや日本を信用せず、中国を手ごたえのある話し相手と思い始めている気配が感ぜられる。
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